タイでは3つの遺跡群が世界遺産に登録されている。
スコータイ遺跡、バーンチエン遺跡、そして最も有名なのがアユタヤー県にあるアユタヤー遺跡だろう。
バンコクから日帰りでの観光も可能な距離にある名所ゆえ、一度は訪れておきたい場所だ。
首都バンコクから北へおよそ80キロ。
17世紀にはヨーロッパ人に「ロンドンのように見事」と言わしめ、しかし、その後ビルマとの戦によりついに陥落した都、アユタヤ。
帝都はズタズタに破壊されつくし、手にした栄華は無残の底に落ちた。
首無しの仏像に、土台だけが残った寺院。
生々しく痛切な姿には思わず息を飲んだ。
南国の炎天下、時が止まったままの永遠の古都には無常の音が静かに響いていた。
古都アユタヤー観光とその周辺情報などを紹介したいと思う。
バンコクからアユタヤまでの行き方はこちらの記事の記事を参考に。
アユタヤー遺跡群観光、日本人町跡、リトル東京で夜遊び
アユタヤ遺跡群、日本人町跡、リトル東京におすすめ宿。左上クリックで一覧がずらり、右上クリックして拡大できる。
アユタヤー遺跡群はチャオプラヤー川とその支流に囲まれる形で生まれた巨大な中州の上に集中している。
もしくはこの中州を「島」と呼んでしまってもよいだろう。
島内と島を囲むように流れる川沿いにはいくつもの遺跡が点在している。
通常、「アユタヤー遺跡群」という場合、主にアユタヤー歴史公園内、とりわけ島内の上側に密集する遺跡群のことを指すことが多い。
遺跡群を見て周る手段はいくつか考えられる。
ツアー、トゥクトゥク、タクシー、レンタルバイクや自転車など、それぞれの観光プランによって選択肢が決まってくると思う。
私は今回、時間的にも体力的にも余裕があったのでレンタル自転車で一日かけて遺跡群を見て周ることにした。
あらかじめ目的地をしっかりと定め、テンポよく見て周るのであれば、たとえ日帰りの観光という限られた時間の中でもレンタル自転車で十分に周れることと思う。
レンタル自転車で遺跡群をサイクリング
自転車やバイクはレンタルショップや大抵のゲストハウスで貸し出されているので、それぞれ自分に合ったものをレンタルするとよいだろう。
相場は、レンタル自転車が一日貸し切りで40バーツ、レンタルマウンテンバイクは80バーツ、モーターバイクは200バーツといったところだろう。
ロットゥーの発着場から遺跡群へ向かう手前、ナレースエン通り沿いにあるグランドパレンツホームでも自転車を貸し出しているので、日帰り観光にせよ宿泊するにせよここでレンタルすれば動きに無駄が無いだろう。
自転車に乗るのはいったい何年ぶりだろう、どこか懐かしい思いを胸に、炎熱下のアユタヤー遺跡群を一日かけて見て周った。
アユタヤー行脚の友、レンタル自転車。はるばる輸入(盗難?)されて来たのだろう、日本製と思しき自転車が目立っていた。中には、赤色のステッカーに「安芸高校 863」とあったりする。
ワット・マハータート
アユタヤー遺跡を訪れたら必ず見ておきたいのがワットマハータート内にあるこの仏像の頭部。
どこかで見たことのある方も多いと思おうが、木の根に包まれているとも締め上げられているとも受け取れるこの仏像の頭部が、ワットマハタートのハイライトだろう。
敷地内に聳え立っていたはずの高さ44メートルの仏像は、やはりビルマ軍の手によって破壊されてしまった。
現在では建物の基礎や、手足、頭部が欠落した痛々しい姿の仏像たちが鎮座している。
在り来たりな正面からの絵には飽き足らず、横からも攻める。
アユタヤー王宮跡
アユタヤー王宮跡。辛うじて土台が残っているのみで、広大な土地には何もない。ビルマ軍の手により完膚なきまでに破壊されつくしたのだ。
ウィハーン・プラ・モンコン・ボピット
この寺院もビルマ軍により破壊されたのだが、ラーマ5世が再建、その後ビルマからの寄付も受けながら復元されたという。
ワット・ラーチャブーラナ
プラーン(クメール式仏塔)の内部には小さな空間があり、階段を上って中へ入ることが出来る。
仏塔からの眺め。遠くに、生い茂った樹木の間からところどころ突き出す仏塔。見慣れぬ異国の景観が旅情を刺激する。
胴体の脇に切り離された頭部がずっしりと構えている。当時の技術を考えれば、破壊する方にとっても大仕事だったことだろう。
遺跡観光に際しての注意点
レンタル自転車で観光する場合、特に暑さには要注意だ。
長時間にわたり炎熱にさらされることになるので小まめな水分補給を怠らないようにしたい。
また、アユタヤーでは観光客を狙ったひったくりも時々発生しているという。
自転車の籠に入った貴重品をバイクで追い越しざまにひったくる、といった事件もたまに起こるようなので十分注意したい。
それと、日が落ちてからの自転車や徒歩による散策はあまりお勧めできない。
これはアユタヤーに限ったことでもないのだが、昼間はおとなしい野良犬も夕方涼しくなってくると狂暴化するからである。
現に旅行者が野良犬に襲われるといった事件もたびたび起こっており、特に17時から19時の時間帯に被害が集中しているとのこと。
実感として治安はいたって良好なアユタヤーだが、要点を押さえ、最低限度の護身に励むことは無論必要である。
チャオプラヤー・リバークルーズ
アユタヤーを訪れる観光客に人気なのが夕日に染まる寺院を堪能できるチャオプラヤー・リバークルーズだ。
アユタヤーのゲストハウスやツアー会社ならどこも扱っているボートツアーであり、200~300バーツほどで夕方4時から6時、約二時間ほどのクルーズを楽しむことができる。
私の宿泊したゲストハウスでは200バーツのツアーを提供していた。せっかくなので夕方、欧米人観光客に混ざり一人参加してきた。
このクルーズでは3つの寺院を周ることになる。
ワット・パナン・チューン、ワット・ブッタイサワン、そしてワット・チャイワッタナーラームである。
日没前のまだ明るいうちに最初の二つの寺院を見て周った。
ワット・パナン・チューンでは高さ19メートルにも及ぶ黄金の坐仏像「プラ・チャオ・パナンチューン」を拝む。
ワット・ブッタイサワンでは繁みの中に佇む遺跡に息をのみ、さらに奥へと進めば、そそり立つ巨大な仏塔、薄暗い天井にはなんと無数の蝙蝠が、、、。
いよいよクライマックスは、島の南西側に位置するワット・チャイワッタナーラームで迎える。
プラーン群の向こうに夕日が沈み、旅行者たちはしばしここで黄昏る。
バンコク発の現地オプショナルツアー
さくっと観光を楽しみたい方やタイに不慣れな旅行者にとって、もっとも手っ取り早いのが現地オプショナルツアーへの参加だろう。
現地ガイド付きの安心感に加え、アユタヤ観光のみのプランから、+「バンコク三大寺院」や「象乗り」「クルーズ」「夜のライトアップされた寺院」など、バラエティーに富んだ組み合わせのツアーがたくさん用意されているこちらのサイトがお勧めだ。
日本人町跡と山田長政
島から南に外れたチャオプラヤー川東岸には、16~17世紀に造成されたといわれる「日本人町」を現代に伝える「日本人町跡」がある。
現在でも多くの日系企業が進出し、規模は小さいにせよ「リトル東京」までが存在するアユタヤーだが、歴史的に見ても日本人にとって縁のある土地だったというのは最近まで知らなかった。
興味を持ったので行ってみることにした。
当時アユタヤーには近隣アジア諸国およびヨーロッパ諸国からの商人が集まったといわれている。
アユタヤー王はそうした外国人たちに住居を与え、町を作ることを許したわけだが、その中で生まれた町の一つが日本人町というわけだ。
ちなみに日本人町跡の近隣にはイギリス人町とオランダ人町があったと言われており、チャオプラヤー川を挟んだちょうど対岸にはポルトガル人町跡があり教会の跡や墓地を見学することができる。
日本人町には最盛期で1500人ほんどの日本人が暮らしていたと言われている。
その多くは貿易商人であり、日本を追放されたキリシタンであり、また新天地を求めてやってきた流浪人たちであったといわれている。
現在でも多くの日系企業が進出しているアユタヤーだが、歴史的に見ても日本人にとって縁のある土地であることが分かる。
この町のドン
この日本人町のドンにのし上がりアユタヤー宮廷の政治にも介入するほどの影響力を持ったたのが山田長政という男であった。
長政は貿易商人として財を成すにとどまらず、アユタヤーと徳川幕府との外交仲介役として活躍、さらには800人におよぶ日本人義勇隊という「軍事力」を背景にしてアユタヤー宮廷政治への介入をするまでに影響力を高めていったと言われる。
その結果、山田はタイの地方リゴール(南タイ、ナコンシタマラート)の王位へと左遷されてしまう。
これは「左遷」らしいのだが、しかし、山田の人生をトータルでみれば「大出世」ともとれるだろう。
駿河の大名の籠担ぎから身を起こし、海を越え、南国シャムの地で一地方の王にまで上り詰めたのだから。
行き方
アユタヤー中心部(ナレースアン通り付近)からトゥクトゥクで約15分、100バーツほど。
値段の安いソンテオかバスで行こうと思い、しばらくナレースエン通り付近で探し周ったのものの、結局日本人町跡方面へと向かう車を捕まえることはできなかった。
ドライバーや現地の人に尋ねるも「わからない、そっちはいかない」といわれる始末。
諦めてトゥクトゥクを拾い100バーツほどかけて到着、帰りは通りかかったバス型のソンテオを捕まえて中心部のフアロー市場まで10バーツで戻ることができた。
もしくは、レンタル自転車で向かうこともできる。
島の南側に位置するリバービュープレイスホテルとポムペット城塞跡の間に船着き場がある。
そこから出る渡し船に自転車ごと乗りこんで川を渡り、対岸から再びこぎ始めて5~10分ほどで日本人町跡にたどり着けるだろう。
もし時間と体力に余裕があれば自転車でいくのも悪くない。
アユタヤ遺跡群周辺のお勧めゲストハウスやライトアップされた寺院を望めるホテルについてはこちらの記事を参考に。
リトル東京で夜遊び
リトル東京の一角。日が落ちると街は静かに華やぎ、カラオケ店の前には呼び込みの嬢たちの姿が現れる。
アユタヤーのリトル東京は遺跡群のある島からトゥクトゥクで東へ20~30分ほど走った地点にある。
「世界遺産」という観光名所のイメージが強いアユタヤーに、しれ~っとして存在するリトル東京にはとても興味をそそられてしまう。
もちろんバンコクのタニヤよりずっと小規模であり、若干廃れ気味の感は否めなかったのだが、そこがまたいい。
街角には観光客と思しき日本人の姿がちらほらと散見され、日本の居酒屋に入ってみれば、作業服姿の駐在員やスーツ姿の会社員が飲み食いしていてまるで日本の居酒屋のようだった。
メイン通り沿いのナイトマーケットは賑やかに活気づき、地元のタイ人たちで溢れていた。
ナイトマーケット
日本食レストランや居酒屋で夕食を取るもよし、ナイトマーケットでローカル料理を安く食べるもよしだ。
裏手にはテーブルがずらりと並んでおり、買い求めてすぐに食べることができる。
カラオケ店のシステムとアユタヤの相場
タイのカラオケ店のシステムを簡単に説明しておきたいと思う。
大抵の場合、入店すると女の子がずらりと並んでお出迎えされる。その中から自分の気に入った子を一人選ぶことになる。
基本的に自分の選んだ娘が最後までつくことになり、途中で勝手に交代されるというようなことは起こらない。
個室またはラウンジを選び、指名した娘と会話に徹してもよし、歌って過ごすもよしだ。
カラオケ嬢を連れ出し(お持ち帰り)したい場合は、店側に別途料金を支払わなければならない。
ちなみに連れ出す場合だが、制約のある娘もいるので注意が必要だ。
ショートタイムのみ可能な娘、ロングタイムも可能な娘、そもそもお持ち帰り自体不可能な娘もいたりするので、連れ出し前提で遊びに行く場合は女の子を選ぶ時点で確認しておいた方がよい。
なお、連れ出し後、ことが済んだら女の子に料金を払わなければならばい。
アユタヤーのリトル東京界隈のカラオケ店ならショートタイムで2000バーツ、ロングで3000バーツ程度といったところだろうか。
飲み放題や連れ出し時に店側に支払う料金も合わると総額3000~4000バーツほどかかるだろうか。
パブ
地元の若者が集うパブ・レストラン。入り口の用心棒に軽い持ち物チェックを受けてから入店。ここで働くウェイトレスは美人揃いだった。ライブ演奏を聴きながら一人ビールをぐびぐび。
グランドホテル裏通り、入り口にあるパブ・レストラン。ほろ酔いで撮影のためか無様な写真に、、、。ライブ演奏が琴線に触れ、一人しんみりと旅情に浸る。
夜遊びならアユタヤーグランドホテルにステイ
夜遊びを考えた場合、遺跡群のある島内ではなく、リトル東京界隈に宿をとっておくのが無難だろう。
島内までは車で30分ほどかかり、リトル東京界隈にはタクシーもあまり走っておらず、郊外の夜道を彷徨うのはリスキーだ。
夜が更けるれば野良犬も狂暴化するし、郊外の夜道を歩くのは特に物騒だ。
繁華街のど真ん中に聳え立つアユタヤグランドホテルはこの界隈のランドマーク的存在になっており、ここなら思う存分遊んでもすぐに部屋に戻ることができる。
3000円から4500円ほどの部屋があり、旧館と新館に分かれている。とくに旧館は多少の古さが目立つものの清潔感は十分だ。
フロントの女性従業員はかなり気だるそうに働いているが、ボーイさんの対応はそれほど悪くなかった。
ジョイナーフィー(連れ込み料)に関してだが、もしロビーにいるボーイに目撃された場合、200バーツほど要求されることもあるようだ。
このホテルの周辺は日本食居酒屋をはじめカラオケ店やマッサージ店なども犇めいていおり立地は申し分ない。詳しくはわからないが、置屋も点在しているとのことだ。
また、ホテル内にもグランドカラオケというカラオケ店が入っており、ここで遊ぶこともできる。
夜遊び目的の一泊なら、立地、クオリティー共にこのホテルが良いだろう。
デラックスルーム、バイキング朝食付き、一泊4500円ほど。もちろんホットシャワーで、バスタブもある。
テレビはNHKが見れる。数年ぶりに相撲をまじまじと観戦した。ミネラルウォーターやフルーツは無料で頂ける。
部屋の窓からは通称「グランド裏」を伺える。ホテルの正面から裏側にかけて夜遊びスポットに囲まれている。
タイのお土産を通販で買う
タイ旅行のお土産は日本から通販で買うこともできる。
通販で買えるのはお菓子や酒類、小物類などの定番商品が中心となり、職場や友人に無難なお土産を配るのに向いている。
現地から身軽に帰国したい場合や帰国後の買い忘れの補充にも最適。
タイのお土産通販サイトはこちらの記事を参考に。