テーウェート、シー・アユタヤー通り。バンコクの下町に溶け込むようにして、センスの良いゲストハウスが密集している。
静謐さ漂う下町の一角で寛げる。それでいて主要なバンコク観光スポットへのアクセスにも優れているゲストハウス街。
そんな魅力的な場所がある。
チャオプラヤー川沿いの、国立図書館そばに位置するテーウェートエリアである。
「バックパッカーの聖地」カオサンロードからサームセーン通りをわずか2㌔ほど北上したところにそれはある。
国立図書館裏手の一角に、ハイセンスなゲストハウスが数軒だけひっそりと佇んでいる。
バンコクの下町にうまく溶け込んだ一角は、旅行者を静かに包み込む。
落ち着いた雰囲気のため一人旅はもちろんのことカップルや家族連れにも旅の拠点としてお勧めできる。
そんなバンコク下町の「キング・オブ・隠れ家」、テーウェート周辺を「行き方」や「お勧めの宿」なども含めつつ紹介していきたい。
画面左下の+-でテーウェートがバンコクのどの位置にあるのか確認してみて欲しい。地図左上の部分をクリックするとA~Fまでの詳細を見ることができる。
飾らない下町風情の漂う、安息の地
この周辺に密集するゲストハウスは、わずか5、6軒に過ぎない。ところがほとんどの宿がおしゃれでとても綺麗である。
木や緑といった自然の温もりを感じさせる快適なゲストハウスが多いのも大きな特徴だろう。
ここテーウェートエリアでとにかく印象的で目立っていたのが、自然が織りなす緑のカーテンだった。
ゲストハウス群を包み込むようにして垂れ下がった樹木の枝や蔓は、周辺一帯に落ち着きと安心感を与え、それでいてとても豪華で贅沢さまで感じさせる。
ゲストハウスの一階は、ほとんどがレストランバーやカフェになっている。
ここで一日中のんびり時間を過ごすのも悪くない。
周辺エリアは寂しくなるほど淡泊だが、またそれがいい。
どのゲストハウス街にもお決まりの、外国人旅行者を想定したバーやレストラン、娯楽うんぬんが全くと言っていいほど存在していないのがこのエリアの大きな特徴といえる。
だから夜は、地元の民と肩を並べ、屋台で晩飯を食らってみよう。宿を一歩出たら、ローカルな雰囲気にすっと溶け込んでみたい。
緑のカーテンに守られるようにしてゲストハウスが軒を連ねている。ここは旅行者にとっての「安息の地」かもしれない。
巨大な樹木を潜った奥に、ゲストハウスが隠れていたりする。それにしても、空を覆うほどにどでかい樹木だ。
屋台、酒屋、小さなカフェ
ソムタム屋台。悪意はないのだろうが、おつりが足りなかったりするので注意が必要だ。ずらっとして、おばちゃん、もしやわざと? ※ずらっと(仙台弁)=とぼけて
朝食がセブンイレブンのサンドイッチじゃちょっと寂しい。ゲストハウスのカフェなら間違いないが節約旅行者には高値だし芸がない。
セブン手前には(写真左手)、小さなテーブル二個ほどが路上にはみ出した小さなカフェがある。
ここなら、低価格でモーニングを食べることができる。食べていると、学生も朝食を買っていったりして、下町っぽさが全開だ。
同じ並びのフルーツ屋台ではパパイヤを購入し朝食後のデザートに。こうした小さなカフェやフルーツ屋台さえあれば、余裕でやっていけそうな手ごたえがある。
すぐ近くには寺院や学校もあり、制服姿の学生たちと頻繁にすれ違う。庶民の暮らしがあり、宿街らしからぬ雰囲気を形成している。
夜は、少し歩いて川沿いの屋台街もいい
宿の並びに辛うじてあった酒屋でビールを買った。店の前のベンチに一人腰掛けては、ソムタムをつまみにタイビール「LEO」をぐびぐびとやったりもした。
ここで終わるのはちょっと寂しい。そう思ったから、川の方へと出かけてみた。
国立図書館を通り過ぎ、サームセーン通り(Samsen Rd.)に出る。
チャオプラヤー川から流れ込んでいるパドゥン・クルン・カセーム(Krung Kasem Rd.)運河沿いにはローカル臭むんむんの屋台が果てしない連なりを見せていた。
若いグループや家族連れが、食べきれないほどの料理に溢れたテーブルを楽し気に囲んでいた。チャオプラヤー川でとれたはずのナマズや魚の焼き物が至る所で口を開けていた。
一人では食べきれないほどのサイズの焼き魚。複数で行ったら、みんなでワイワイ突きたい。
単に焼き魚を撮るつもりだったのだが、その気でポーズを決め込んでしまった屋台主。
この、カセーム運河に沿うように走るクルン・カセーム通りの方まで来ると、外国人旅行者でも立入りやすそうなバーやレストランがほんの少しだけ目に付くようになる。
川の北側のラクルアン通り(Lukluan Rd.)にも屋台の連なりがあり、仕事帰りの会社員や地元の人たちで賑わっている。
カラオケのできる飲み屋のような店が一軒だけあり、せっかくだから入ってみようかと前をうろうろと迷ったのだが、客の中に熱唱する厳ついレディーボーイの姿を認めたことで心が折れてしまいあえなく断念した。
ラクルアン通りで見つけた「あんかけ豚肉ラーメン(Topped Noodle)」40バーツ。味、ボリューム共に申し分なし。
王宮やワット・ポーなどの観光名所へのアクセスもいい
チャオプラヤー川に面したテーウェートエリア。つまりチャオプラヤ川沿いに位置する観光名所へのアクセスはすこぶるよいということになる。
バンコク観光の定番でもある王宮周辺や、ワット・アルン、ワットポーなどの荘厳な寺院にもボートに揺られ数十分、同じくチャオプラヤー沿いに位置する中華街やカオサンロード観光にも事欠かないわけである。
テーウェートへのお勧めの行き方はやはりボート
どの地点からテーウェートエリアを目指すかにもよるわけだが、もし船着き場がそばにあるのなら私がぜひお勧めしたいのはボートでの移動だ。
「東洋のベニス」と呼ばれた水上都市の名残を感じながら、緑に包まれた安息の地を目指そう。
チャオプラヤー川からの景色を楽しみながらN15(テーウェート船着き場の番号)で降りると、そこからマーケットを抜けて徒歩5分ほどでゲストハウス街にたどり着くことができる。
ちなみに私はチャイナタウンからテーウェートまでボートで移動した。
慣れない旅行者が空港からテーウェートを目指すならやはりタクシー一本で向かうのが無難だろう。
ドライバーに「テーウェートマーケット」や「国立図書館(National Library)」と告げればわかってくれるはずだ。
途中まで電車で移動する場合は、スワンナプーム国際空港からだとBTSに乗り終点パヤー・タイ駅で下車、その後タクシーでシー・アユタヤー通りを西に4㌔ほど進めばたどり着ける。
ドンムアン国際空港からなら国鉄に乗り、サームセーン駅あたりで下車してそこからタクシーが無難だろうか。
テーウェートの船着き場から徒歩約5分でゲストハウス街へ
テーウェートの船着き場からはテーウェート市場を横切るようにして北へ抜ければ徒歩約5分ほどでシー・アユタヤー通りのゲストハウス街にたどり着くことができる。
テーウェートの船着き場から宿街までの道のりを紹介していきたい。
テーウェートの船着き場。「N15」がテーウェートの番号となっている。
下船。船着き場に着くたびに船員の笛が鳴り響く。何度も鼓膜をいびられた。
船着き場の前の通りは、セレブにも人気の園芸市場になっている。盥一杯の魚類に加え、綺麗な花や植物で埋め尽くされている。
まもなく左手に、パドゥン・クルン・カセーウ運河を渡る小橋がある。これを渡ると、生々しい生鮮食品の溢れるテーウェート市場に入る。
テーウェート市場から北向きに何本か通路が伸びている。市場がしばらく続いたのち、ゲストハウスが隠れるシー・アユタヤー通りに辿りつくはずだ。とにかく北へ向かおう。
マーケットを歩いていると、向こうの路面で黒い影が動いた。近づいてみたら、ナマズがぐったり。盥から飛び出したらしい。スマホに夢中の売り子の少女にそのことを伝えると”It’s O.K”と全く問題のない素振り。他にも、魚類や両生類が、時にグロテスクな姿で迎えてくれる。
地図上でいうとA→Bのブルーのラインが大まかなルートになる。
もしくは小橋を渡らずにサームセーン通りまで出たのち、国立図書館手前の交差点を左に曲がるという遠回りだがシンプルな手もある。
テーウェート周辺のゲストハウス
周辺のゲストハウスをいくつか見て回った結果、スタッフの対応と館内の雰囲気がもっとも性にあったTAVEE Guest House(地図上C)に泊ることにした。
シー・アユタヤー通りから伸びた路地に面した宿の入口。のどかで小奇麗な路地だった。
シングルが満室だったのでダブルルーム450バーツをチョイス。
花弁を模したバスタオル。こういうちょっとした装飾が、宿を選ぶ際の決め手になったりする。条件が競っている場合はなおさらだ。
シングル、ダブルは共同トイレ・シャワー。もちろんシャワーはお湯が出る。800バーツの部屋なら室内完備のはずだ。
朝食はフルーツサラダ175バーツ。ちなみにパイナップルはすでに手をつけたあと。
予約サイトで宿を事前予約
上で紹介したTavee Guest Houseを事前に予約する場合は宿に直接問い合わせる必要がありそうだ。
複数のホテル予約サイトで検索をかけてみたが残念ながら出てこなかった。
しかし、負けず劣らずのゲストハウスは他にもある。
地図上にも示した以下のゲストハウスは実際に部屋も一見させてもらったがどちらも最後まで迷った引けのとらないお勧めの宿だ。
E:Taewez Guesthouse/テワズ ゲストハウス
また、船着き場に最も近いF:Steve Boutique Hostel という選択肢もある。
このエリアで過ごしてみたい方はぜひ予約してみて欲しい。