カンボジアのHIV感染率はまだ高いが減少傾向にある
カンボジアのエイズ患者を含むHIV感染率は、東南アジアの中でも1、2を争うほど高い。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)の統計によると、現在カンボジアのHIV感染者の数は推定で7万人以上とされており、カンボジアの人口1513万人の約0.4%の人がHIVに感染しているということになる。
そして、毎年1万人以上の人がエイズによって亡くなっているとも言われる。
しかしこれでも、感染者数は年々減少傾向にある。
1997年の時点での感染率は約3%と言われていた。
それが、2007年時点では約半分の1・7%にまで減少、さらに、国家エイズ対策局によれば、15歳~49歳のHIV感染者は2013年に0.6%にまで下がり、2014年には前述の0.4%にまで減少している。
新たなHIV感染者数で見ると、2005年には3500件だった新規感染者の数は、2013年には1300件という風に67%も減少させることに成功している。
カンボジアのHIV感染率減少の背景として、海外からの支援や、NGO等の活動の成果は見過ごせない。
基本的にカンボジアのエイズ対策は、海外からの資金援助に頼っているというのが現状だった。
一時は、予算の90%が海外ドナーの援助だとも言われていたわけだが、フン・セン首相は近頃、「2020年までに新たなHIV感染を止める」という公約を宣言した。
これにより、カンボジア政府は2015年から17年まで、370万ドル(約4億4000万円)の公的資金をHIV治療に割り当てる予定だという。
カンボジアにおけるHIVの主な感染経路
カンボジアでは異性間の性的接触によるHIV感染が特に多い。
HIV感染率自体は減少傾向にある中で、近年の特徴として特に女性の感染者数が増加している。
その主たる経路は、夫から妻への感染であり、また全体の3分の1を占めているのが母から新生児への母子感染である。
さらに、薬物使用時の注射器の使い回しによる感染も他の国に比して多い。
内戦による社会の荒廃
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カンボジアのHIV感染率の高さを語る時に、忘れてはならないことがある。
それは、カンボジアで1970年代から20年余りの間行われていた内戦である。
この内戦は、大きな社会混乱を招き、社会基盤がズタズタに壊されてしまった。
カンボジアでは、こうした戦後の荒廃の中で、HIV感染率が急激に伸びて行ったという背景がある。
当時のポルポト政権は教育や教養を否定した。
そして、無残にも多くの教師や医師などの知識階級が虐殺されてしまった。
クメールルージュ(ポルポト派を中心とするカンボジアの共産党勢力)が実質支配した3年8カ月の間に200万人が虐殺されとも言われている。
これにより、医療や教育は壊滅的な状況に追いやられ、近代的な社会システム構築の大幅な遅れを招き、カンボジアは現在でもその尾を引いている。
1991年、終戦を迎えたわけだが、その後、巨額の援助資金が海外からカンボジアへなだれ込んだ。
この時に、性産業が急激に拡大した。
しかし、グラグラの社会基盤の上に、HIVやエイズへの教育、啓蒙が整うはずもなく、HIVが性産業従事者から客の男性へ感染するという大きな流れも出来上がってしまった。
母子感染や、薬物注射器の使い回しによる感染なども、内戦による社会荒廃との関係は深い。
内戦の影に隠れる形でHIVやエイズ問題は着々と大きくなっていき、戦争が終わり、貧困や教育、医療の欠如という問題が浮上する頃に、エイズ問題もまた明るみに出ることになった。
根強い差別や偏見
カンボジアのHIV感染率は減少傾向にあるものの、感染者や家族が置かれている状況はまだまだ深刻である。
例えば、エイズ患者やHIV感染者への理解の不足や差別には根強いものがある。
差別や不理解により仕事を続けられない、医療サービスそのものを受けられないケースもあり、ひどい場合には家族に虐待されるといった問題も少なくないと言われている。
しかし、こうした点も教育の普及や啓蒙活動によって徐々に改善していくに違いない。
カンボジアの性風俗。タイ同様の注意が必要
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シェムリアップの風俗という記事ではシェムリアップのローカルな夜遊びスポットを紹介した。
シェムリアップはアンコールワットの拠点になる小さな観光都市だが、日中はアンコールワット遺跡を観光、夜は夜遊びをと考えている旅行者も少なくないことだろう。
開けっ広げなタイほどではないが、カンボジアも首都プノンペンに一極集中する形で性産業がそこそこ盛んな国である。
フンセン首相による一掃作戦の結果、カンボジアの色町はだいぶ大人しくなったらしいのだが、それでも例えばシェムリアップでは警察に賄賂を払いながらしれっと営業していたり、はたまた店舗をころころと変えながらこっそりと営業している店もあった。
カンボジアで夜遊びしようとする旅行者はタイ同様にHIV感染や性感染症には十分注意しなければならない。
不特定多数のお客を相手にしている夜の女性たちは特に、HIVやその他の性感染症にかかるリスクに毎日晒されている。
彼女たちと関係を持つという事がどういうことなのか理解した上でできる限りの予防に努めるべきである。
東南アジアに限ったことではないが、そうした場所で遊ぶなら避妊具着用は最低限のマナーであるわけだが、それでも100%安全と言うわけではない。
そういう意味でも、事の後に、僅かでも不安や心当たりがある方は早期にHIV検査等をするべきである。
いきなりエイズの増加や早期発見の重要性
日本では近頃、中高年者を中心に「いきなりエイズ」が増加傾向にある。
これは、HIVに感染していることに気が付かないまま数年間過ごし、ある日突然にエイズを発症しその時点で初めて自分が感染していたことを知るケースのことを言うのだが、そうしたケースが増えているというのである。
その原因はもちろん過去の性体験と、そして検査への意識の低さにある。
また、HIVウイルスが強靭化し、通常は5年から10年と言われているHIVウィルスの潜伏期間が短くなり、感染からわずか1年でエイズを発症するというケースも報告されているのが現状であり、早期発見の重要性はより一層際立つ。
ちなみに、医学の進歩した現代、HIVはもはや「死の病」ではなく「慢性的な感染症」とまで言われており、早期に発見し適切な治療を施せば感染者も健常者とほぼ同等の暮らしと寿命を手に入れることが可能になっている。
その場合、年間の治療費はけっして安くはないものの、身体障害者手帳を申請し、福祉サービス等を利用すれば支払い可能な現実的な自己負担額にまで落とし込むことができる。
そのような点からも、感染の予防はもちろんだが、同時に少しでも心当たりがある場合はすみやかに検査を受けることがますます重要になってきているわけだ。
日本でのHIV検査の方法
現在、日本でHIV検査を受けようとすると大きく3つの方法がある。
➡病院で検査(診察代、初診料などがかかり、性病に関わるなんだかの症状が出ていないと保険が適用されないこともある。全額自己負担の場合3000~7000円の設定が多い)
➡保健所で検査(無料、匿名で検査を受けることができる。対面で人と話さなければならず、結果は通知や郵送ではなく保健所での面談になる。検査可能日も少なめ)
➡検査キットで検査(匿名、自宅で検査ができ、結果はWEBで確認。)
無料、匿名で受けれる保健所での検査も便利だが、出向く時間を節約でき、匿名で受けれる検査キットも便利だ。
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