タイ、カンボジアのエイズ事情に引き続き、ミャンマーの現状について調べてみたので簡単にまとめておきたい。
2011年に民主化されたミャンマーだが、以前の軍事政権下では情報公開が制限されていた中、「感染症被害者は皆無である」と公表されているようなひどい状況があった。
しかし実際には、いくつかの感染症が国民の生活を脅かすまでに蔓延していた。
そして、HIV感染も例外ではなかった。
ミャンマーのHIV感染者数は日本の10倍、主な感染経路は性交渉

小さくて見辛いが、ピークは1999年、それ以降は減少傾向にあるものの、、、。(HIV Estimates and Projections Myanmar 2010-2015)
HIV及びエイズは、ミャンマー国民を脅かす三大疾病の一つに数えられ、マラリヤ、結核に次ぐ3番目の重要課題で、患者数・死亡数の上位を占めている。
GLOBAL NOTEによると、ミャンマーの国別HIV感染率は世界第46位となっており、東南アジアではタイについで第2位となっている。
ミャンマーのHIV感染者数は、1999年を頂点として減少傾向にある。
とは言え、その裏ですでに多くの命がエイズによって失われており、また感染率そのものも依然として高いと言わざるを得ない。
2009年の国連合同エイズ計画によると、ミャンマーのHIV感染者は推定で24万人、人口全体の約0.5%で、毎年8000人以上とも1万人以上の新規感染者が生まれている。
日本のHIV感染者数は約2万人なので、ミャンマーには日本の10倍ほどの感染者がいる事になる。
残念ながら、そのうち4分の3ほどの人々が経済的理由などから未だにまともな治療を受けることができていないといった現状があり、ミャンマーにおけるHIV治療の普及にはまだまだ大きな課題が残っている。
軍事政権の支配下では、国家予算のうち保険関連分野に充てられる財源がごくごくわずかであった。
そのため海外からの支援が頼みの綱であったわけだが、民主化後の新政府には予算配分の増加が見られる点は一つの救いだ。
1980年の中頃にミャンマー初のHIV感染者が発見されて以降、その感染経路には大きな変化があった。
当初は薬物注射使用者を媒介に感染が拡大したが、近年ではHIVの主な感染ルートが性感染に移り、全体の半数以上を占めるようになった。
その内実は、男性同性愛者間の性交渉や、売春婦と顧客の間の高リスクな性交渉であったりする。
性感染が主な感染ルートとなれば、必然的に、一般市民が感染のリスクに晒される機会も増えてゆくことになる。
主なリスクグループを媒介にして、一般の人々へと感染が拡大していくのが通常のパターンとされている。
売春婦の現状とHIV感染率
ミャンマーの売春婦の人口は推定で6万人とも8万人とも言われる。
2008年の政府の調査は、売春婦のHIV感染率を18.4%としている。
それが、2012年の調査では7.1%にまで減少、おそらく2017年現在では、さらに下回っているはずだが、依然として他国よりも高い割合となっている。
ミャンマーの売春婦の半数以上が首都ヤンゴンで働いており、その他何割かはマンダレーなどの中堅都市にも分散している。
貧困が蔓延する田舎から大都市に出稼ぎにやって来る若い女性たち。
何も持たない彼女たちが唯一すぐに「売れる」ものは自身の肉体であり、手っ取り早く高収入を得るためには都会で体を売るしかないという現実がある。
大抵の場合、そこで得た収入は田舎の両親や家族への仕送りに充てられる。
中には、高等教育を受けるための学費に充てる者もたくさんいるようである。
この辺りの状況は、タイやカンボジアともよく似通っている。
例えば、バンコクやパタヤの歓楽街で春をひさぐタイ女性達のほとんどが、貧しい東北地方(イサーン)や北部の農村出身である。
そこで得た収入は、田舎の家族たちへの仕送りであり、また大学の学費などへ充当されるというケースがほとんどである。
売春禁止法がHIV感染を促している?
ミャンマーでは売買春は違法である。
ところが、ナイトクラブやディスコなど売春スポットになっている店側と当局(警察や軍、政府)の癒着の上で黙認されながらまかり通っているのが現状だ。
警察は売春を斡旋する店を摘発することもあるわけだが、そうした言わば「ポーズ」の影で、店側からの賄賂をしっかりとポケットに収めて私服を肥やしている。
そうした中で、売春禁止法は、特に売春婦たちに厳しいという酷な現実もある。
雇い主は処罰の対象にならないが、買春を斡旋する業者やギャングなど、性産業の支配者たちだけではなく、売春婦たち自身にも1~3年の懲役刑や高額の罰金が科せられることになる。
そうした事から、彼女たちは性感染症のみならず、懲役や罰金を科せられ兼ねないというリスクに晒されながら売春に従事することになる。
2011年までには、女性のコンドーム所持が売春の状況証拠として利用されかねない状況があった。
「女性がコンドームをたくさん常備していると売春婦とみなされかねない」という恐れから、避妊具の所持に及び腰になり、結果的にHIV感染のリスクが高まると言った見方をする専門家もいるようだ。
売春を禁止するための法律が、むしろHIV感染の拡大を促しかねないという状況が見られたというのは皮肉である。
それに加え、売春やHIVそのものへの差別や偏見が、感染の疑いのある人たちを医療の受診から遠ざければ、結果的にさらなる感染が生まれてしまうという点も危惧される。
夜遊びしたい旅行者が注意すべきこと
ミャンマーのヤンゴンなどで夜遊びを考えている旅行者はHIV感染や性感染症には十分注意しなければならない。
不特定多数のお客を相手にしている夜の女性たちは特に、HIVやその他の性感染症にかかるリスクに毎日晒されている。
彼女たちと関係を持つという事がどういうことなのか理解した上でできる限りの予防に努めるべきである。
東南アジアに限ったことではないが、そうした場所で遊ぶなら避妊具着用は最低限のマナーであるわけだが、それでも100%安全と言うわけではない。
そういう意味でも、事の後に、僅かでも不安や心当たりがある方は早期にHIV検査等をするべきである。
いきなりエイズの増加や早期発見の重要性
日本では近頃、中高年者を中心に「いきなりエイズ」が増加傾向にある。
これは、HIVに感染していることに気が付かないまま数年間過ごし、ある日突然にエイズを発症しその時点で初めて自分が感染していたことを知るケースのことを言うのだが、そうしたケースが増えているというのである。
その原因はもちろん過去の性体験と、そして検査への意識の低さにある。
また、HIVウイルスが強靭化し、通常は5年から10年と言われているHIVウィルスの潜伏期間が短くなり、感染からわずか1年でエイズを発症するというケースも報告されているのが現状であり、早期発見の重要性はより一層際立つ。
ちなみに、医学の進歩した現代、HIVはもはや「死の病」ではなく「慢性的な感染症」とまで言われており、早期に発見し適切な治療を施せば感染者も健常者とほぼ同等の暮らしと寿命を手に入れることが可能になっている。
その場合、年間の治療費はけっして安くはないものの、身体障害者手帳を申請し、福祉サービス等を利用すれば支払い可能な現実的な自己負担額にまで落とし込むことができる。
そのような点からも、感染の予防はもちろんだが、同時に少しでも心当たりがある場合はすみやかに検査を受けることがますます重要になってきているわけだ。
日本でのHIV検査の方法
現在、日本でHIV検査を受けようとすると大きく3つの方法がある。
➡病院で検査(診察代、初診料などがかかり、性病に関わるなんだかの症状が出ていないと保険が適用されないこともある。全額自己負担の場合3000~7000円の設定が多い)
➡保健所で検査(無料、匿名で検査を受けることができる。対面で人と話さなければならず、結果は通知や郵送ではなく保健所での面談になる。検査可能日も少なめ)
➡検査キットで検査(匿名、自宅で検査ができ、結果はWEBで確認。)
無料、匿名で受けれる保健所での検査も便利だが、出向く時間を節約でき、匿名で受けれる検査キットも便利だ。
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