HIV ゲイ タイ 病気・怪我

タイのエイズ事情。旅行者が知っておくべき独特の環境。

投稿日:2015年1月27日 更新日:

9601962972_dc1e543eac_bphoto by Ton Rulkens

 

タイにはHIV感染者やAIDS患者が多いというイメージを持っている方は少なくないと思う。

私も以前からそういったイメージを持っていたし、じっさいに調べてみると他の国に比べて多いというのが事実であると分かる。

 

これからタイの旅行を計画している方は、ぜひこの記事を一読して欲しい。

特に夜遊びを企んでいる男性の方に向けて書いた記事である。

他の国ではあまり見られない、男性旅行者が気をつけるべき「独特の環境」についても述べていきたい。

 

 

 

 

そもそもHIV、AIDSとは?その感染経路は?

 

日本人はHIVやAIDSへの関心が薄いといわれる。そのため、まずはじめにHIVとAIDSの違いについての基本的な知識を確認して行きたい。

 

HIVとは、

Human(ヒト)、Immunodeficiency(免疫不全)、Virus(ウイルス)の頭文字を取って命名された、いわゆる「エイズウイルス」のことである。

私たちの体に備わっている自己防衛のための免疫機能が、HIVに感染したことにより低下する。すると、どういうことが起こるかと言うと、体内に侵入してくる、普通なら何でもないはずの細菌・カビ・原虫に感染しやすくなり、悪性腫瘍もできやすくなる。

こうして発症する疾患のうち、代表的な23の指標となる疾患を発症した時点で、エイズ発症と診断される

AIDSは日本語で言うと、「後天性免疫不全症候群」である。

これは、生まれた後にかかる(後天性)、免疫の働きが低下すること(免疫不全)により生じる、いろいろな症状の集まり(症候群)という意味である。

 

「HIV感染=エイズ」ではない

 

したがって、HIV=AIDSではない。上で述べたように、HIVに感染した人が代表的な23の指標となる疾患を発症した時点で「エイズ発症患者」という風にはじめて呼ぶことが出来る。

 

ほとんどの人がHIVに感染した後の数年の間は、症状が現れることがない。

そのため、感染を知らないままに、大切なパートナーにも移してしまう可能性などもある。

 

 

感染経路

 

  • 性行為
  • 血液を介しての感染
  • 母子感染

 

「性行為」がもっとも多い感染経路とされている。

言うまでもないことだが、「空気感染」などはしないし、くしゃみを浴びたり、同じお風呂に入ったりして感染する様なウイルスではない。

くわえて、例えば「HIV感染者を刺した蚊に自分が刺される」といったことで感染することもないと言われている。

HIVは男性であれば血液と精液、女性であれば血液と膣分泌液、母乳(赤ちゃんがいる方)の中にしか存在していない。

つまり、HIV感染者と普通に生活することで感染することはない、と言うことになる。

4514087511_e2a49a30b9_ophoto by Ton Rulkens

 

タイ人のHIV感染者数は東南アジアで最も多い

 

国際連合エイズ合同計画(UNAIDS)の推計(1991~2013)によると、タイの15歳から49歳の成人人口におけるHIV感染率は1.1%であり、この数字は東南アジア諸国の中で最も高いものである。※この数字にはAIDS発症者も含まれる。

つまり単純に計算するとタイの人口は約6,400万人だから、15歳から49歳の成人の64人に1人はHIVに感染しているということになる。

おそらくはセックスワーカーや麻薬使用者のほうが感染率は高いだろうから、「64人に1人」といってもそういった世界の人々と一般の人たちを同率と考えるべきではないだろうが、、、

 

タイ公共保健省によると、1984年にタイで初めてHIV感染者が報告されて以来、2010年の時点でHIV感染者の数は累計100万人を突破した。そして、約3分の2にあたる64万人以上が既に死亡したとも言われている。

また、2012年の時点で46万4414人のHIV感染者が確認されており、そのうちの62%が男性だと言う。そしてもっとも感染の割合が高いのは男性同性愛者なのである。

ちなみに世界で最もHIV感染者が多い国、一位はスワジランドの27.4%であり、タイは世界の中では39位となる。49位のカンボジア(0.7%)が東南アジアで二番目にHIV感染者が多い国である。

 

80年代末の爆発的なHIV感染者の増加と「ミスターコンドーム」

 

タイで最初の感染者はバンコクで見つかった。始まりは、アメリカ帰りの同性愛者の男性だと言われている。

その男から、はじめは同性愛者の間で感染が広まった。その後、「ドラックの注射針」の使い回しにより感染がさらに拡大し、のちに性産業に従事する売春婦の間で爆発的に広まり、彼女らを買うお客へとうつっていったと言われている。

90年代初頭には、タイ北部でのエイズの蔓延が大きな問題となり、一時期は北タイの売春婦の4人に1人がHIVに感染しているとも言われた。

1991年の時点のタイにおいて、HIV感染者の割合は建設、漁業労働者と売春婦に集中していた。彼らの多くは、農村地帯から著しい工業化を遂げるバンコクへやってきた出稼ぎ労働者であった。

前述したように、タイにおけるHIV感染者の爆発的案増加は「買売春」を媒介にしており、その背景には、避妊意識やHIVそのものへの正しい知識の欠如はもとより、工業化によって開いて行った都市部と農村の経済的格差、豊かな暮らしへの羨望、無教育などの問題が横たわっていたとも言える。

 

 

メチャイ・ビラバイダヤ

 

 

タイには「ミスターコンドーム」と呼ばれる政治家がいる。

彼の名はメチャイ・ビラバイダヤと言い、タイで爆発的に増加したHIV感染を国家的危機と捉え、その減少ために奔走した男である。

彼は性産業を「死の産業」と呼び、エイズの蔓延に対して有効な策を取ろうとしなかった政府や、買春目的でタイを訪れる欧米人や日本人を痛烈に批判した。

「色情狂どもよ!死にたかったらタイに(買春に)くるがいい!」といきり立った。

彼はコンドームキャンペーンなどをはじめ、政界、教育、メディアなどあらゆる角度からHIV感染者の撲滅のために活躍した。

メチャイ・ビラバイダヤの働きにより、1991年から12年間に渡り、タイにおけるHIV感染者を90%減少し、世界銀行によれば、770万の命を救ったといわれており、世界的にも大変評価をされている人物である。

彼の活躍もあってか、タイのHIV感染者はピーク時に比べると大幅に減少した。

しかしそれでも未だに毎年数千から一万人近い新規の感染者が生まれており、依然として多くの課題が残されている。

 

若者の性感染症予防意識は低い

 

2012年12月21日のバンコクポストの記事の中で、「ミスターコンドーム」が警鐘を鳴らしている。

「タイはいま、新たなHIV・AIDS危機である」

「タイではまだ一年で9470人もの人々が新たにHIVに感染する。そして、そのうちの80%が”unsafe sex”つまりコンドーム不着用での性交によるものだ」と訴える。

特に、10代の若者の避妊具不着用が際だっており、彼らは他の世代よりも大きな感染リスクにさらされているとのだと警鐘を鳴らす。

公共保健省の報告によると、2014年の15歳から24歳の若者の性感染性は10年前の約2倍と言う風に急激に伸びている。

これは、HIVの爆発的な感染拡大により行われた90年代のキャンペーンや啓発活動の影響下から、現代の若者が外れてしまっており、HIV感染に関する知識や予防意識が上手く浸透していないことを物語っている。ちなみに、「望まない妊娠率」もこの世代が最も高くなっている。

くわえて、タイのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)コミュニティーやセックスワーカー、そして移民労働者における新規のHIV感染者の数は依然として増加しているのだと言う。

彼は続ける。

「今日、25万人のタイ人がHIVに感染しているはずだが、彼らは検査を受けていない」

つまり、隠れた感染者が25万人いるのではないかと、彼は強調しているのだ。

タイ メチャイ「色情狂ども、死にたければタイに売春しに来い!」といきり立ち、「タイは新たなAIDS/HIV危機に直面している」と警鐘を鳴らすメチャイ・ビラバイダヤ氏。photo by bangkok post

外国人旅行者が気をつけるべきタイ独特の特徴

 

少し年配の方々の中には特に、タイという国から売買春を連想する人も少なくないと思う。

こうしたイメージは大方のタイ人にとってはともすると不名誉なことかもしれない。

しかし実際に、観光産業と密接に関わりながら特異な形で発展を遂げたタイの性産業は未だに盛んであると言える。

世界中から「それ」を目的に男たちが集まって来るという状況がある。バンコクやパタヤなどの売春街では日本人、アジア系、そして多くの白人(ファラン)たちの姿を目にすることができる。

 

売春に従事する女性を「娼婦」、「売春婦」と呼ぶ。

多くの人が「売春婦」と聞いて思い浮かべるのは、街かどの立ちんぼや風俗店などで働いている女性だと思う。

もちろんタイの場合も、数ある売春街に売春婦と呼ばれる女性たちがたくさん働いているのは言うまでもない。

他の国のことは良くわからないが、タイの事情が日本の状況と比べて大きく違う点が一つ上げられる。

これは、自分の経験からも、ほぼ間違いなく言えることである。

それは、いわゆる売春街や各種風俗店で働いたり、立ちんぼと呼ばれるようなコテコテの「売春婦」と呼ばれる人たち以外にも、わりと平気で売春をする女性が夜の街にはたくさんいて、このような女性は副業的に個人で売春を行っている場合が多い。

もちろん、こうした副業的に売春を行う女性というのはタイだけではなく日本を含めて世界中に存在しているのは言うまでもない。

しかし、タイの場合はそうした女性の数が多いのではないかという指摘があり、彼女らの多くは比較的裕福な外国人旅行者をターゲットに売春を行う

そして、当然ながらこうした売春を生業にする女性たちが性感染症を持っている確率はより高いと考えておくのが自然だろう。

不特定多数との性交回数の多さに加え、場合によっては避妊具未着用での性交を受け入れざるをえない事などから、そういった目算が立つ。

 

100万人を超える売春婦?

 

具体的に、タイの売春婦(セックスワーカー)人口はどれほどのものなのだろうか。これは非常に難しいことで正確な数字を導き出すのは容易ではない。

いわゆる「風俗店」に勤務している人の数を把握すればよいというわけではないからである。

特にタイの場合で言えば余計に、ゴーゴーバーやマッサージパーラーの店舗数とそこに登録されている人数を把握しさえすれば売春婦人口を把握したことになるわけではない。それでは不十分である。

どこの国であれ「個人」で客を取る人が存在している。いわば副業のように売春行為に及ぶ人達である。そして、前述のようにとりわけタイの場合はこうした「グレーゾーン」に属して売春に及ぶ女性の人口が多いという独特の環境があると言われている。

例えば、市野沢 潤平著の『ゴーゴーバーの経営人類学』によると、タイの売春婦の人口が出典によってまちまちであることが見て取れる。

厚生省(Public Health Ministry)の調査では六千人を越える程度の数だが、ある学者の調査によると、最大で100万人にもなるという。100万人という数字は、その「グレーゾーン」まで含めて推し量った場合ということだろう。

 

「すぐそこ」に売春婦がいる

 

例えば、観光客が集うようなバーで働く女性の多くが店員として働きつつ個人で客を取ることを厭わない。こういう場所では金銭を介した「持ち帰り」がなかば当たり前の状態になっていたりする。

会員制クラブ、ナイトクラブ、ゲイバー、パブ、カクテルラウンジ、ディスコetc。

クラブで遊んでいると若い女性から金銭目的の性交を持ちかけられたり、疲れを癒すために入ったマッサージ店で、施術の合間になかば強引に売春を持ちかけてくるマッサージ師などもいる。

タイで知り合ったタイ人男性も言っていた。「この国ではどこでも売春ができる」と。

普通のカフェでこういった女性が働いている場合もある。また、床屋でそういった商売を行う場合もあるという噂もちらほらと耳にする。

日本で言うところの「ナンパ」のように、お互い気に入った上で金銭を介さずに関係を持とうとする女性も当然いる。

しかし、行為の前後に数千バーツほどの金額を要求してくることが多い。より「売春」の色合いが濃いのである。

つまり、外国人旅行者をターゲットに、売春をしようとする普通の女性が多いという印象を受けた。

旅行者が夜の街で遊んでいればこういった女性と知り合う機会は必然的に増えることになる。

これは、性に対してオープンと言われる国民性(もちろん貞操観念の強い人も多い)、観光産業化して発展した性産業、また個々の経済的な理由が絡み合って出来上ったタイ独特の環境なのではないかと思う。

そして、外国人旅行者の方も、こうしたいわば「平然と爽やかに繰り広げられるタイならではの売春」に感覚が狂ってしまい、そういったことが油断に繋がり羽を広げ過ぎて痛い目に会う人も少なくないのだろう。

さて、一説によると、イギリス人男性はタイでHIVに感染する率が高いと言われている。

外国人旅行者たちの中には「売春婦ではなくて一般の女性」だからという理由から予防を怠る人もいるのではないかと思う。

ところが、旅行者が夜の街で出会う「一般的」と思しきタイ人女性の中には、じつは売春の経験者も多い。

そういった状況がタイでHIVに感染する外国人を生み出す一つの理由になっているのかもしれない。

HIV/AIDSを含めた性感染症のリスクや予防法を常識として持ち合わせているはずの先進国の旅行者が、明らかにHIV感染者の多いタイで感染するケースが少なくないことの一つの背景として、上で述べてきたように「一般女性と売春婦の間の境界線が他の国に比べて曖昧」であり、夜の街で親しくなったタイ人女性がじつは売春の経験者であると知らずに予防せずに性交を行うケースが多いのではないかと思う。

 

 

タトゥーによる感染

1514926135_adae6982d1_bphoto by haribote

 

タイの街にはタトゥーショップが乱立している。

一昔前は、日本でも刺青を入れる際にC型肝炎ウイルスに感染するというケースがたくさんあった。

タイでは伝統的なタトゥー(サクヤン)を入れる際に、HIV感染してしまうというケースがいくつも存在している。

これは、施術する環境が医学的に衛生とは言い難いことが原因と考えられている。

 

まとめ

タイではエイズ感染者の数はピーク時に比べるとだいぶ減少したが、他の国と比較するとまだまだ少ないとは言えない。どこの国でもそうだが、タイで性行為を行う場合もHIV感染予防を怠るべきではない。 

その理由としては「売春街」と呼ばれるような場所ではなくても、わりと平気で売春を行う女性があちこちにいおり、元セックスワーカーという女性も多い、という現状があるからだ。

じっさいにそうした独特の環境が、タイに滞在中にHIVに感染してしまう外国人男性が少なくないことの一つの原因になっているとも言われている。

何度も重複するようだが、特に夜の街では、一般の女性とセックスワーカーとの境界線が非常に曖昧であるから、「売春婦でなければ感染の心配はない」と短絡的に考え節度のない行動を取りがちな方は特に注意が必要であるということだ。

もちろん、言うまでもないことだが、タイの女性がみなこういった人達というわけではない。当然のことだが、売春には経済的な事情が絡んでいるはずである。そう言った悩みを持たない、貞操観念の強い大方のタイ人女性にとっては失礼な話に聞こえるかもしれない。

そして、前述した通り、メチャイ氏によれば「タイの一般の若者のHIV予防意識は決して高いとは言えない」ものの、現在の大方の人は、HIV感染に対する予防意識を持っているということは付け加えておきたい。タイはアジアで最初にエイズ危機を経験し、様々な対策のもとに感染者を大幅に減少させ、現在もその終息を目指している国である。

 

「いきなりエイズ」

世界的に見るとエイズ患者の数は減少傾向にあると言われている。ところがわが日本に目を転じれば全く逆の現象が起こっており、HIV感染、エイズ患者の数はともに増加傾向にあると言われる。

長年HIVに感染していることを知らずに過ごした末に、ある日突然エイズを発症するケースのことを最近では「いきなりエイズ」と呼ぶらしい。このいきなりエイズが日本の中高年の間で増えていると言う。

専門家によっては、HIV感染者の数は、報告されている数の約10倍にも上るという意見もある。隠れ感染者の数は報告されている数よりも圧倒的に多いと言うのである。

「10倍」という数にどれほどの信憑性があるのかはさておき、感染者の数が公表されている数字よりも多かったとしてもなんら不思議ではないだろう。

また、ウィルスの「変異」によって、エイズ発症までの潜伏期間が短くなっているという説も散見される。これまではHIVウィルスに感染してからエイズを発症するまでの期間は5年とも10年とも言われていたのだが、近頃では4年やそれ以下の非常に短い期間のうちに発症に至る可能性が高まってきていると言う事になる。

 

自宅で簡単、匿名検査

 

海外において性感染症の心当たりがあるという方はもちろん、国内においても複数のパートナーとの関係を持っていたり避妊具未着用での経験がこれまでに何度かある方は、一度HIV検査をしてみてはどうだろう。

 

昔は不治の病というイメージがあったエイズ。現在では様々な治療薬が開発されたおかげで、適切な治療によって症状をコントロールしながら、普通の生活を送ることができるようになっています。感染予防のために正しい知識を理解することが重要です。また、早期発見と治療のためにもHIV検査が大事です。全国の保健所などでは匿名・無料でHIV検査や相談ができますので、ぜひ利用してください。政府広報オンラインより

 

このように、HIVは今や不治の病ではなくなってきており、適切な治療をしコントロールすることで非感染者と同じ生活を送ることができるという。

そのために必要なことはなによりも「早期発見」である。発症してから気がついたのではどうしようもない。HIV検査を受けたいのだが、病院や保険所へ出向き辛いという方には自宅で出来る匿名検査がお勧めだ。

 

 

検査キット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考サイト

http://www.npo-gina.org/nazekansen/

http://kuin.jp/chuma/04field/04PDF/905Chapter6Haruyama.pdf

 

 

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