HIV 病気・怪我

中高年は早期HIV検査で「いきなりエイズ」を回避せよ。

投稿日:2017年12月9日 更新日:

 

ここ数十年、主要先進国におけるエイズ患者の報告数は減少傾向にあると言われている。

そんな中、不名誉にも日本だけが唯一増加傾向にある。

日本で最も多いHIVへの感染経路は「男性同士の性的接触」であり、エイズは性的マイノリティーたちの問題であると考える人もまだまだ多い。

 

「いきなりエイズ」が多いのは普通の中高年

 

 

 

さて、数年前から「いきなりエイズ」の急激な増加が各メディアにも取り上げられるほど大きな問題となってり、特に40~60代の中高年男性の間で増加している。

いきなりエイズとは、ある日突然エイズを発症し、その時初めて自分がHIVに感染していたことを知るケースのことを言う。

HIVウイルス感染の自覚のないまま5~10年の潜伏期間を経て、ついに何の手も打たないままエイズを発症してしまうというわけだ。

 

年間の新規HIV感染者数は約1500人と言われ、その内いきなりエイズに該当する患者は400~500人に相当し、全体の約3割にまで及んでいる

 

このいきなりエイズへの感染経路で最も大きい割合を占めているのが「異性間による性的接触」である。

つまり、いきなりエイズの増加を後押ししているのは、男性同性愛者ではなく、異性好きの普通のおじさんたちだという事になり、特に若い頃に持った異性との性交渉がその原因となっている。

もはやエイズが性的マイノリティーたちの問題だという間違った認識を捨てなけれならない時期に来ていると言える。

 

HIVに感染した場合、治療をしなければ免疫の低下が始まり、行く行くはほぼ全員がエイズを発症する。

早期発見に比べ、エイズ発症後の治療は困難が増す。加えて感染の自覚がないためにHIVウイルスを知らぬ間に他者に移してしまう可能性も危惧される。一説によると、自覚の無いHIV感染者は一生の間に7人に移すと言われている。

 

したがって、HIV感染において早期発見、早期治療が鍵になる。

ところが、いきなりエイズの脅威にさらされているはずの中高年の腰は重いようだ。

 

匿名で検査ができる保健所へ出向くのは若者ばかり

 

 

国立病院機構大阪医療センターの白阪琢磨HIV/AIDS先端医療開発センター長はこう指摘する。

 

「各地域の保健所では匿名で検査を受けられるにもかかわらず、実際に受けている人の多くが若者なんです。いくら啓発キャンペーンを行っても、エイズ発症が心配な、もっとも届いてほしい中高年層は当事者意識が薄く、危機感を抱いていない」AERA

 

実は、私自身過去に保健所でHIV検査を受けたことがある。

休日だったが、保健所の待合室にいたほとんどの受診者は20~30代と思しき比較的若い世代だったのを鮮明に記憶している。

中高年の姿がほぼ皆無だったのは印象的だった。

先の指摘の通り、全国の保健所でも現状は同じようなものなのだろう。

 

避妊具は「アダルトグッツ」?

 

また、コンドームメーカー大手「オカモト」のマーケティング推進室、林知礼(とものり)氏は、中高年の避妊具に対するイメージについてこう表現する。

 

「年配の人の方が、コンドームをいまだにアダルトグッズのようにとらえて敬遠したり、『俺は平気だから』と着けないリスクをひとごとのように考えていたりする傾向があるように思いますね」AERA

 

また、「HIV=不治の病、悲惨な死」という誤解をしたままの方も未だに少なくない。ところが実際には、HIVは「慢性的感染症」であるという認識が常識となっている。

 

若者に比べて低い検査意識やエイズに対する誤ったイメージ。

では、こうした「世代間ギャップ」の根底には何があるのだろうか。

 

過去に経験した「ヒステリックで煽情的な報道」が誤解の元凶?

 

今の中高年がエイズに対して抱く偏ったイメージや誤解。その根底には世代的な特徴が横たわっているのかもしれない。

 

今の中高年層はちょうど性に目覚める年頃に、一連のヒステリックで扇情的な報道に接した年代だ。そのため「エイズは特殊な状況下での特殊な病気」という誤解(無知に発する偏見ともいう)と、社会的なバッシングや実名が晒されるのではという恐怖心が根強い。HIV検査への忌避感は、この辺に由来している。ダイヤモンド

 

 

もはや検査しないリスクの方が大きい時代?

 

 

現在、HIVはもはや死の病ではなく、慢性的感染症という位置づけが常識となっている。

抗HIV薬の普及により、早期発見と適切な治療のもと、感染者の生活や寿命は非感染者のそれへと限りなく近づきつつある。

社会的な不理解、無知による偏見や差別は現存しているものの、大きな流れとしては減少していくはずだ。

さらに、気になる治療費も、健康保険や身体障害者手帳取得後に利用できる福祉制度の恩恵に授かることで、月々の自己負担額を無料から2万円程度に留めることも可能となって来る。

 

このような現状を踏まえると、心当たりのあるなしに関わらず、むしろHIV検査を受けないことの方が、もはやリスクであるということではないだろうか。

 

「心当たり」と言ったが、避妊具着用が100%の安全をもたらすわけではない。

 

また、HIV感染しても初期症状が現れないケースもあり、よく言われる「5~10年の潜伏期間」ですらも「感染後わずか1年ほどで発症」という驚愕のケースの報告の前では不確実なもの。

 

こうした中、医師によっては性行為の経験がある方はとにかく一度検査するべきだと主張する方もいる。

 

とにかく早期検査が重要であり、また早期に発見できればそれはまさに「不幸中の幸い」と言える。

 

 

HIV検査の方法

 

現在、日本でHIV検査を受けようとすると大きく3つの方法がある。

 

 

➡病院で検査(診察代、初診料などがかかり、性病に関わるなんだかの症状が出ていないと保険が適用されないこともある。全額自己負担の場合3000~7000円の設定が多い)

 

➡保健所で検査(無料、匿名で検査を受けることができる。対面で人と話さなければならず、結果は通知や郵送ではなく保健所での面談になる。検査可能日も少なめ)

 

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(匿名、自宅で検査ができ、結果はWEBで確認。)

 

 

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