センセーブ運河ボートに続いて、クルンカセーム運河ボートに乗ってみた。
クルンカセーム運河にはもともとボートが運行していたはずだが、時代の流れと共に消え去ってしまった。
これは、バンコク中の運河に言えることで、水の都からコンクリートジャングルへと変貌を遂げる中で回避できなかった出来事の一つなのだと思う。
今回、たまたま運行が開始されたという情報を目にして、ならばと、ふらっと行ってみた。
2016年の9月から無料で運行されているらしが、期間限定なのか、それともずっと続くのか、よくわからない。
とにもかくにも、数少ない貴重なバンコク運河ボートの仲間入りである。
運河好きの方は早めに乗っておいた方がいい。
クルンカセーム運河ボートの乗り方と運行時間
クルンカセーム運河は、チャオプラヤ川を迂回するようにして北から南に流れていて、ボートは、北のテーウェート桟橋から南のフアランポーン桟橋の区間を行き来している。
フアランポーン桟橋は、中華街のあるヤワラートにもほど近く、数日の間潜伏し、歩き倒したこともある馴染みのエリアでもあった。
そこから、同じく潜伏経験のある隠れ家的な街テーウェートが終点桟橋ということで、その2点を繋ぐ運河ボートには自然と興味も沸いた。
もちろん、区間のどの桟橋からも乗ることができる。
前述の通り、現在乗車料金は無料となっている。
運行時間は、平日6時~20時まで、土日は8時~20時まで。
フアランポーン桟橋からテーウェート桟橋まで
フアランポーン桟橋は、MRTフアランポーン駅の2番出口からが行きやすい。
地下鉄から地上へ上がると、国鉄フアランポーン駅と連結地点に出る。
トゥクトゥクが屯している、バスやタクシー、行き交う人で騒がしい所。
国鉄フアランポーン駅は、建物の際に浮浪者が寝転んでいたりする、地方出身者にとってバンコクの玄関口の様な駅だ。
ここからロータリーを横切って南へちょっと歩いた所に、クルンカセーム運河が流れている。
交通量が多いので、道を渡る時は十分注視してください。
すぐに小橋が目に入ると思う。その橋を渡らずに川伝いに少し歩いていくと緑のテントの待合所がある。
その下が桟橋になっている。
ボートは、簡素なものだった。
まず屋根がない。
屋根付きのボートとも何度かすれ違ったが、あれに乗れるのかどうかもわからない。
ゆえに、炎天の日差しをもろに浴びることになるわけだが、そこでか、小さな日傘が用意されていた。
カラフルな小型の日傘が、ボートの手すりに掛けられていて、それを各々で差す、というシステム。
座席は、長椅子タイプと、タイの屋台や食堂でおなじみのプラスチックの簡易椅子が並べられたものとの2種類あった。
この辺りに無料っぽさが現れていた気がする。
速度は10キロほどだろうか、かなり低速で、センセーブ運河ボートやその他のボートに乗ってからこれに乗ると、拍子抜けする。
しかし、この鈍さが返って観光には適しているかもしれない。
クルンカセーム運河は護岸工事がなされている。
両岸はしっかりとコンクリート造りになっている。
ボートからの街並みは平坦で整然としていて、刺激的な風景もそれほどない。
例えばセンセーブ運河だったら、時折現れる鬱蒼とした繁みにワクワクしたり、地上の渋滞をしり目にボートで疾走する爽快さを味わったりできる。
対して、クルンカセーム運河ボートは別の味があった。
安っぽいボートが大人しいエンジン音でちんたらと滑っていく。
すると、なんとなく気が抜けた、牧歌的な風情が生まれてくるのだった。
センセーブ運河はどぶ川の香りがした。
クルンカセーム運河もセンセーブ運河と交わっている。
しかし、それほど異臭がしなかった気がする。
それでも、水質は最悪だと考えた方がいい。
簡易椅子タイプのボートは、縁が低いのか、水飛沫が飛んできた。
口元に飛んできたのをペットボトルの水できちんと濯いだ。
マスクを持ってくるのを忘れてしまっていた。
北の基点、テーウェートには、生鮮市場や植木市場がある。
生鮮市場の北側には、わずか5~6軒のゲストハウスがひっそりと立ち並ぶ一角がある。
下風情が漂い、近くに学校があるため制服姿の学生も多い。
その中に観光客の姿もあったりする、カオサンとは対照的な、のんびりと過ごすには最適のエリア。
ちなみにテーウェート桟橋からチャオプラヤ川のテーウェート桟橋までは目と鼻の先、ここからチャオプラヤエクスプレスボートへの乗り換えもスムーズに行く。