今回バンコクでいくつかの運河ボートを試してみた。
その中で、最も気に入ったのがプラカノン埠頭から出ているパッタナカン行きのボートだった。
このボートに観光客の姿は無かった。
ただ、プラカノン運河沿いに暮らす住民たちの生活の足としてしっかりと機能しているだけだった。
そういうローカルなボートを私は求めてもいた。
プラカノン埠頭はプラカノン市場を背後に背負っていた。
運河沿いに暮らす市民たちが市場に買い出しに来る際の足。
そんな小さな需要をきめ細やかに満たしている水路のようにも見えた。
これがバンコク?
そう呟きたくなるような景色が、奥には隠れていた。
ところが、水面にはゴミがぷかぷかと浮かび、汚水がガスのような怪しい気泡をぶくぶくと吐き出している。
やはりそこは紛れもなく現代のバンコクだった。
ボートはプラカノン埠頭から。航路、料金、時間。
パッタナカン運河ボートはプラカノン埠頭から出ている。
プラカノン埠頭は、BTSプラカノン駅とオンヌット駅のちょうど中間に位置していて、その背後にはプラカノン市場を控えている。
それぞれの駅から歩いてもいい距離だが、バイクタクシーを使うなら駅周辺から20バーツほどで連れて行ってくれる。
ドライバーには「プラカノンボート」とか「プラカノン ピアー(英語で「埠頭、桟橋の意」)」と言えばなんとか通じるはず。
もちろんスマホでマップを見せればもっと分かりやすい。
プラカノン埠頭からはプラカノン運河ボートとパッタナカン行きの二種類のボートが少し離れた桟橋から出ている。
パッタナカン行きボートの料金は15バーツ。これで終点まで乗っていける。
ちなみに、途中の桟橋はほとんど民家と一体となった小さなものか、川辺の細い歩道沿いなので、我々旅行者が途中で降りた所で路頭に迷うことになる。
だから、もし乗るならば、30分ほどでたどり着く終点まで行ってみることをお勧めする。
パッタナカン行きボートの運行時間は午前中のみ。
私が乗ったのは確か10時の便で往路のみ、帰りはパッタナカン通りからバスでBTSプラカノン駅まで戻って来た。
ボートが15バーツ、帰りのバスも同じくらいだから、合計30バーツほどでバンコクの超ディープな運河旅が味わえるわけだ。
桟橋までの行き方
BTSプラカノン駅から行く場合、3番出口を降りてBTSの高架下の大通りをオンヌット駅方面に歩いていく。
陸橋手前、左に逸れていく細い道の先にプラカノン埠頭がある。
BTSオンヌット駅からプラカノン埠頭を目指す場合の方が、ちょっとだけ面白い。
オンヌット駅から出たら、同じく高架下の大通りを今度はプラカノン駅方面へと歩いて行く。
陸橋手前に右手に逸れる道があるので奥の方へと進んでいく。
この小さな市場を抜けるルートの方が面白かった。
まるで闇市の残骸のよう、ほんのわずかな長さだが、薄暗い中に商店と空き店舗が並び、出たところで川に架かる歩道になる。
どの店主のペットなのか、首輪付の白い子豚が前からよちよち歩いてきて、思わず立ち止まるとくるぶしをペロりと舐められた。
シュールな一角である。
ボート旅と帰り方
運河は、何度か枝分かれする分岐点を越えて分け入るにつれてますます細くなっていく。
奥の方ではもはやボート一隻が通るのでやっとの川幅になる。
センセーブ運河ボートもそうだったが、運河の後半には川岸を歩くムスリムの姿がよく目に付くようになり、白壁のモスクも数カ所ほど確認出来た。
30分ほどで終点の小さな船着き場に到着する。
ボートから見える細かい景色などはお楽しみという事で敢えて割愛させてもらうことにする。
すぐそばに架かる小橋を渡り、パッタナカン通りの方へと歩いて行く。
大通り、パッタナカン通りに出たら、左へ少し歩いた所にバス停がある。
バスは#113のピンク色、10バーツ、約20分でBTSプラカノン駅そばに到着する。
バスに関しては全く下調べせずに行ったため、数人のタイ人にプラカノン駅行きのバスを尋ねた。
乗るバスを間違えながらも、何とか無事に帰って来れた。
最後に一つ。
前述したようにこのボート、川沿い住民の貴重な足になっている。
紹介しておいてなんなのだが、もしここを訪れる際は、くれぐれも彼らの妨げにならない程度に観光して欲しい。