夕方、スリン駅前に突然現れた像の群れ。
日が暮れると、ロータリーに獣の匂いとでっかい糞を残して、
南の方へと去って行った。
バンコクに二週間ほど滞在している間に感じたことがあった。
それは、タイ人はそこまで微笑まない、ということだ。
そう言えばあまり微笑まれていない
「微笑みの国」と言われている割に、そういえばあまり微笑まれた記憶がないなとあるときふと思った。
むしろ、レストランの店員やゲストハウスの受付などは、そっけなく、不機嫌そうな印象の方が強く残るほどだった。
なんだか怒ってそうで、こちらが気を使ってしまうこともしばしばだった。
そしてもちろん街中に笑顔が溢れているというわけでもない。
東京ほど殺伐としてはいないけど、少しギスギスした感じは否めない。
大都市とは大抵このようなものなのだろうし、まだまだ日が浅いために何ともいえない部分もあるけれど。
それでも、南国気質というか、マイペンライというか、のんびりした雰囲気はあるし、
みなムスっとしているわけではない。
ただ、バンコクの人たちが見せる笑顔は、都会的な洗練さを帯びたスマイルだった。
もはや微笑んでいる場合じゃないタイ人
そもそも「微笑みの国」というのは、観光産業を盛り上げるために生み出された
キャッチフレーズに過ぎないのかもしれない。
もともと微笑んでなんかいなかったのかもしれない。
もしくは、近代化の過程で「はにかみや微笑み」が残念ながら失われてしまったのかもしれない。
微笑んでる余裕がなくなってしまった、と。
ネットで見てみると、「昔はもっと微笑んでいた」なる実体験に基づいた意見も目につく。
このことについてはもう少し調べて見たいとわからないし、
実際にタイ人やタイ経験豊富な人がいたら聞いて見たいと思う。
スリンの人々に、「微笑みの国」の 原型を見る
さて、現在私はタイでもっとも貧しい地域の一つ、スリン県という所に滞在している。
そしてここの人たちは、バンコクの人たちに比べると
屈託のない微笑みを持っているように見える。
ホテルの受付からレストランの店員、リキシャのおじさんまで、みな笑みをこぼす。
はにかむ。
そのはにかみは、ビジネスとは無縁の、自然な笑みに見える。
別に微笑みに飢えているわけではないけれど、
ピュアな笑みには心が和む。
これが消えかかってしまったタイ人の微笑みなのかもしれない。
スリンに来てよかった。
それでも、だいぶ減ったんだろうな、微笑みは。