photo by Robert Couse-Baker
ここ数年のあいだに「旅を仕事にする」という考え方がずいぶん広がったのではないだろうか。以前に増して、ネットや書店でよく目にするようになった気がする。
たんに私自身が旅好きだからそういった言葉に人よりも敏感なだけかもしれないが、、、。
旅好きの学生や若者はもちろん、会社勤めから解放されたいと思っている会社員にとっても「旅を仕事にする」というのは魅力的なライフスタイルなのかもしれない。
20代の後半から海外の一人旅をするようになり、アジアでは二カ国目に訪れたタイ王国にすっかり魅せられてしまった私も、好きな時に好きな場所へいき好きなだけそこに滞在することができたらどれだけ楽しいかと夢想する。
慣れてしまえばどうってことないのかもしれないけれど、それでも一度そういう環境をじっさいに手に入れてみたいし、自分自身で確かめてみたいと思う。
だからか、書店などで「旅を仕事にする」といったことをいう類の本を見つけたら、ついつい手にとってみてしまう。
旅と仕事が合致した職種や、旅に近い状態を実現できそうな具体的な職種を上げながらその可能性を探ってみたいと思う。
「旅を仕事にする」の定番は「旅行記作家」
トラベルライターや旅行記作家はまさしく「旅を仕事にする」の真髄に迫る職種だと言える。
旅を続けなければ仕事にならないし、旅と仕事が重なり合う宿命にある仕事だからだ。
他のジャンルの作家のように取材のために移動するのとも少し違い、よりいっそう旅そのものが仕事になっている状態にある。
より多くの旅を通して、より面白い作品が書ければ、より多い収入を得るチャンスが広がっていく。
「旅行家」は究極の形
あまり聞いたことはないのだが、「旅行家」という職業があるのをご存じだろうか?
これは「旅を仕事にする」という試みの究極の形なのではないかと思う。
具体的にどうやったら旅行家になれるのかと言うと、
①自分で旅の企画書を書いて
②スポンサーになってくれそうな企業に片っ端から営業をかけて
③旅を実現するというものだ。
藤原かんいちさんという方は、実際にそのようなプロセンスを踏むことで、現在「プロの旅行家」として旅を仕事にする生き方を現在進行形で実践している人ツワモノである。
国内外においてユニークな旅歴を持つ方だが、現在は「リトルカブで国道全制覇中」とのことだ。旅行家を目指したいと言う方はぜひ参考にしてみて頂きたい。
「旅行家」ほど旅そのものが仕事になっているケースはないであろう。
手の届きそうな仕事
しかし誰もが旅行記作家や旅行家になれるわけではない。才能や並はずれた行動力が必要であり、たとえ一度上手くいったとしても次がなければすぐに路頭に迷ってしまうといった心配をする人も多いだろう。また、旅行家などの職種に対しては「そこまでして旅をしたいとは思わない」と感じる人も多いのではないだろうか。まさに、ナチュラルボーントラベラーだからこそできるスタイルだろう。
そんなことを言っていたら結局なにも実現することはできないのだが、それにしてももう少しハードルの低い方法で旅を仕事にする方法はないのだろうか。
「旅」や「仕事」というものの解釈の仕方次第では、もう少し選択肢を広げることができるかもしれない。
旅のように「移動できる仕事」を選ぶ
photo by Bun Oshita
取りあえず頭に思い浮かんだ職種をざっと列記してみると、
- カメラマン
- ライター
- スカウトマン
- 映画撮影のカメラマン
- リゾートウェディングのプランナー
- 豪華客船内での仕事(ウェイター、事務、フィットネスetc)
- 語学教師
といったところになるだろうか。
結論から言えば、こういった職業での移動は「自由で気ままに」というわけにはいかず、旅の本質からはだいぶかけ離れていると言える。
あくまで仕事に付随した形の移動だから、さすがに「場所に縛られない」とは言えないにしても、旅のような雰囲気を味わうことはできるし、毎回違う場所で仕事をすることができると言う新鮮味を味わうことはできそうだ。
路上パフォーマーが最も自由に移動できる職業かもしれない
路上があり、見てくれる人がいれば、いつまででも旅を続けられるのが路上パフォーマーだ。photo by Simon Grubb
路上パフォーマンスをする能力があり、いくばくかの収入を得ることが出来れば、路上パフォーマーとして旅を続けることができる。日本風に言えばまさに「旅芸人」である。
路上で小銭を稼ぎながら国内外を点々とするというライフスタイルは、金銭的に余裕のない旅路が続きそうなイメージはある。
しかしその分現地の人々と触れ合う機会は宿命的に用意されており、他の旅の被片と比べると大きな旅の醍醐味を味わえるかもしれない。「路上パフォーマンス」というお金の稼ぎ方も、放浪者や旅人にはとてもよく似合っている感じがする。
突然だが、あなたはジャグリングが出来るだろうか?
ちなみに私は3つのボールでジャグリングをすることができる。これは難易度がとても低いのでおそらく3つの玉でジャグリングができる人は世の中にたくさんいると思う。
それでも私はすでに旅芸人の卵だと言える。
練習を続け、4つ5つ6つと増やしていき、たくさんの玉を自由自在に操ることができるようになれば、私も世界の路上で小銭程度なら稼げるようになれるかもしれない。
そうすれば、野宿と自転車移動の旅であればぐっと現実味が出てきはしないだろうか。
音楽でもよいし、ダンスでもよい。路上で披露できるなにかしらの「技」があれば、貧乏な旅なら意外と簡単にできてしまうのかもしれない。
それ以外の選択肢
それは、ヒッチハイクや野宿、人々の施しを受けながらする、限界ギリギリの旅である。これはもう、旅をしているというよりも、移動する浮浪者に近い気がする。
路上パフォーマーという旅の仕方ともリンクしそうだが、前者はまだお金を稼ぐためのスキルを持ち合わせている。それに対してこちらは人さまの善意が頼みの綱だ。
私は旅が好きな方だが、ここまでして旅を続けたいと考えたことは未だかつてない。あまりおすすめできる方法ではないが、それでも無銭でする旅でしか味わうことのできない貴重な経験は出来そうだ。お金に頼らずに人々の協力を取りつけてこねばならず、まさに、人間力がものを言うスタイルなのではないだろうか。
不労所得を得ながら旅をするという理想的状況
旅する国や地域にもよると思うが、毎月一定の不労所得があればより自由できままな本来の旅や放浪に近い形のライフスタイルを実現できる。
- 投資家、FX
- 印税、作品収入のある芸術家、作家
- ブロガー、アフィリエイターなどのネットビジネス
- 特許収入
- 賃貸収入
- その他、オーナー業など、旅を続けられるだけの定期的な収入がある人
といったところだろうか。
いくら「不労所得」とは言っても、どのような方法で稼ぐかにかかわらず、収入を維持するための多少の作業時間は旅先でも裂かなければならないだろう。
しかし、上手くいけば多くの場合、旅そのものを満喫できるより多くの時間が生まれる。
収入によって旅の選択肢に幅が生まれる
当然のことながら、収入が多いか少ないかによって旅をできる国や地域、旅の仕方も変わってくる。
収入が多ければ多いほど移動は広範囲に、サービスは良質なものを受けながら旅をすることが可能であり、収入が少なければ少ないほど物価の安い国で質素な旅をすることになる。もちろん、どちらが良い悪いという話ではない。
月50万円の不労所得がある人ならアメリカやヨーロッパ、アジア、日本国内でも好きな所へ好きなだけ長く滞在できるかもしれないのに対して、月7万円の旅人は、物価の安い東南アジア諸国などを周るといった旅の形が現実的になってくるだろう。
もちろん、出費を抑えるための工夫を厭わず、少ない収入を他の能力で補うことにより旅先での衣食住を確保することができれば、限りなく少ないお金でも広範囲を有意義に旅することもできる。
世の中には稀に、資金ほぼゼロで何年も旅を続けているようなツワモノもいて、お金がなくても生き延びてしまうタイプの人がいる。そう言った人は基本的に、不労所得を得たり、誰かに雇用される労働をしない。
路上パフォーマンスで小銭を稼いだり、人々の助けを受けながらなんとか死なずに旅を続けるのだから、大したものだ。おそらくそういった人たちはもはや、「旅」というものを超越している。
当然、受けられるサービスの範囲は限りなく狭まるはずだが、旅の醍醐味を最も味わっているのは、そういった野性的な放浪者たちなのかもしれない。
私の目指すところ
私の場合は「旅を仕事にしたい」というよりも、取材としての旅をしながら作品を書き記してみたいのである。
今後数年の間にやってみたいことは「タイや東南アジアを舞台にしたノンフィクションを書くこと」である。そして、本の出版の可否や売れ行きに関わらず旅(取材)をしながら書き続けるために、毎月一定のブログ・アフィリエイト収入を得られるようになろうとしている。
このブログも当初はたんなる雑記ブログとして運営を開始したが、今ではそのような使命を背負ったブログの一つとなっている。
現在の自分の能力や時間的な拘束を考えると、そう簡単に叶う目標ではないことはたしかだが、それでも、それが今の時点で自分のやりたい事であるのだから、上手くいくまでしぶとく取り組んでいきたいと思う。
私の目標やこれまでの経緯については、また別の機会に詳しく書いてみたいと思う。