旅先での言葉の壁は海外一人旅初心者の悩みの種かもしれない。英語や現地の言葉が喋れないというのを理由に、海外旅行に踏み出せない人達も多いかと思う。
そんな中、タイを一人旅してみたいという初心者のために、タイの旅において英語やタイ語がどれくらい必要になるなのかということについて、個人的な体験を踏まえつつまとめてみたいと思う。
タイの公用語はタイ語。英語はほとんど通じない。
当然ながら、タイの公用語はタイ語である。そして英語はほとんど通じない。
もちろん、観光スポットや都会の宿泊施設、「バックパッカーの聖地」カオサンロードなどのように多くの旅人が集まる安宿街には、英語の堪能なスタッフがたくさん働いている。
けれども、一般のタイ人の英語力は日本人とほぼ同じくらいのレベルか、ともするとそれ以下である。バンコクやチェンマイなどのように大きな都市から離れて田舎へ行けば行くほど英語話者の数は減っていくというのが現状のようだ。
客観的なデータとして、ある国際機関が発表した英語力調査では、タイ人の英語力が東南アジア諸国の中で「非常に低いレベル」にあるという結果がでている。newsclip.be
ちなみにおなじ調査において日本は26位にランクインされている。私の印象だと、日本もタイもどっこいどっこいだ。
とにかく、良い悪いは置いておいて、タイ王国では英語が通じにくいという現状がある。
タイ旅行と英語。タイで誤解された3つの英単語もお薦めだ。
ガイドブックと簡単な英語やタイ語だけで十分旅ができる
突拍子もないことを言うようだが、一言も喋らなくたって旅なんて出来てしまいはしないだろうか?
意思を伝える方法は言葉以外にもいくつかある。地図や写真、メモ帳などを上手く組み合わせて使えば、ある程度の意思疎通は可能だし目的地にもなんとか辿りつけるはずだ。
人間は置かれた状況からあるていど相手の意図をくみ取れるものだと思う。電話口でタイ人と話すわけでもあるまいし『シチュエーション』からなんとなく分かってくれるものだ。
したがって、ガイドブックと簡単なタイ語や英語さえできれば、まずもって平凡なタイ旅行なら実現可能だろうし、それぞれ自分の身の丈に合った旅をすればいいのではないだろうか。
言葉の問題よりもむしろ「一人の時間を楽しむことが出来るかどうか」の方がひとり旅にはより重要な要素なのかもしれない。
私の場合は現地の人とのコミュニケーションが旅の醍醐味の一つになっているし、旅の記録をブログに書き残すために「インタビュー」のようなこともしたい。だから、言葉は欠かせないツールであり、幸い英語はできるので英語話者を見つけたら色々と聞きまくる。
そして、やはりタイ語が出来た方が日常をスムーズに展開できるので、基本的なタイ語もいくつか覚えるとこを心がけた。
まだ記憶しているタイ語を書き出してみると、、、
- 「サワディークラップ(こんにちは)」
- 「コープクンクラップ(ありがとう)」
- 「ヤーク パイ ~(~へ行きたい)」
- 「シャーイ(はい)」
- 「マイ シャーイ(いいえ)」
- 「ポン イープン(私は日本人です)」
- 「タオ ライ クラップ?(いくらですか?)」
- 「アローイ マーク(おいしいです)」
- 「クン チュー アライ クラップ?(名前は何ですか?)」
- 「ミー ~ マイ?(~はありますか?)」
- 「コー ~ ノーイ(~をください)」
- 「コー トート クラップ(すみません)」
- 「ヤムウンセン(ラーメンの種類)」「ホンソン(タイのブランデー)」「カウ(米)」「プラー(魚)」「メンダー(タガメ)」「チングリー(コオロギ)」
※もう少し出てきそうだけどこの辺にしておこう。
二カ月と一週間の間タイを歩き回ったわけだが、この程度の単語を覚えれば十分だったし、むしろ自然に覚えていくのが言語と言うもの。
食べ物の名前や地名など、その都度覚えていけばいいだけの話である。
それから、1~10までと、4桁くらいまでの数字のいい方は言えるようにしていた。物を買う場合や値段の交渉、乗り物など何かと数字使用の頻度は高い。もっとも使うのが数字のような気さえする。もちろん子供のように指を使ったっていいだろう。ひとちゅ、ふたちゅ、みっちゅ。ヌン、ソン、サーム。
片言のタイ語でもいいから現地の言葉を使おうとする努力は、現地の人々の心に響くこともままある。自分達がリスペクトされていると感じた人たちが、「親切」と言う形で答えてくれるかもしれない。
タイで使えそうな英語
- “Thank you”
- “I want to~”
- “How much?”
- “Please!?”
- “NO!!”
- “YES!!”
- “Japan,Japanese”
- “Money”
- “Girl”
- “Same,same”
これに、基本的な数字を含めた感じだろうか。
あまり英語が得意ではない人にとっては、文章よりも単語の方が理解しやすかったりする。日本人と同じく英語の得意でないタイ人にとっても、むしろ単語を並べた方が通じやすい印象を受けた。
余談だが、なぜだかタイの人達は”Same(同じ)”という単語を言うときは必ず”Same,same”と二回繰り返してワンセットとして使う。通常は”Same”と一回だけである。いわゆるタイ英語というやつだ。どこの国にも特有の英語のリズムや訛り、変化した表現があるものだが、私はこの”Same,same”を聞くと(ああ、タイに来たんだなぁ)という感じがする。
入国時
入国カードは英語で簡単な記入をする。photo by Wahyu Wijanarko
私は入国に手こずったことはないし、ほとんどの日本人はすんなり通れると思う。入国審査の際に滞在先を聞かれた時のために英語の予約表を用意しておくといいかもしれない。
私はいつも入国してから宿を探しはじめるので、滞在先を聞かれた際に「まだ決まっていない」「バンコクのどこかに泊る」なんて答えることもざらなのだが、それでも入国に手こずったことはこれまで一度もない。
タクシーやトゥクトゥク
ウドンタニーのトゥクトゥク。脇で休憩中だった運ちゃんに「車体の写真」を撮っていいかと尋ねたつもりだったが、ニコニコしながら運転席に乗りこんできた。トゥクトゥクだけでよかったのだが、、、。
目的地への地図や、地名を言えば大抵の場合は伝わる。
トゥクトゥクはもちろんのこと、タクシーも予め料金を聞いてから乗るのがベストだ。メーターがきちんと動いているからと安心していても、最終的にメーター通りに請求されない可能性が残るからだ。
ちなみに私はそのようなぼったくりの経験はないのだが、基本的には乗車前に行き先を告げて料金を明確にしてから乗り込むようにしている。
言葉に自信がない方はメモ帳などではっきりと料金を確認してから乗るといいかもしれない。
バンコク、夜の繁華街と言語
写真はバンコク、ソイ・カウボーイ。photo by Eustaquio Santimano
タニヤやパッポンには日本人向けのカラオケバーやクラブがたくさん軒を連ねているらしい。そして、そう言った場所にはあるていど日本語を喋れる娘たちが働いているという話である。
欧米人をはじめ日本人も多く集まるバンコクのナナプラザやソイカウボーイという通りにもある程度英語が話せる娘も多く、なかには日本語が上手な娘もいる。こういった場所では、テーブルゲームが用意されていることもあり、言葉が拙くても店員らとそれなりに楽しめるようになっている。ただし、こういったゲームで負けると店の娘にお酒を奢らなければならないこともしばしば。
欧米人旅行者で溢れ返るバンコクのカオサン周辺のクラブやバーなどで出会いを楽しむにはやはり英語が必要になってくるだろう。ここには若いタイ人も集まってきていているようだが、彼らは英語が堪能な子たちが多い。
カオサンロードについて知りたい方はカオサンの「今」とその魅力を参考に。
ツーリストポリスや病院など、日本語対応は?
トラブルに巻き込まれたときのことを考えると、たしかに英語ができた方が便利だろう。
タイには旅行者のために「ツーリストポリス」が設置されているのだが、私の経験上、そこでも英語ができた方が手っ取り早い。ちなみに私はトラブルで助けを求めるためではなく情報収集を兼ねて何度か立ち寄っただけだ。
しかし、日本語対応の電話窓口などもしっかり用意されているようなので、事前に調べておけばなにかあったときに素早く対処できるだろう。
バンコクには日本語に対応している病院なども多いので心強い。心配な人はこちらも事前に調べておきたい。
こちらのサイトは参考になりそうだ。→bkkzoom
トラブルと言語
つい最近もこんな事件があったらしい。
①在タイ日本大使館によると、バンコク都内カオサン通りを旅行中の邦人男性が、タイ人女性に声を掛けられ親しくなり、その女性とホテルで食事した際、飲食物に違法薬物を混入され、昏睡状態となり、現金やクレジットカード、携帯電話等を奪われた上、意識不明の重態となり、入院するという睡眠薬、違法薬物利用による強盗が発生した。
②またある邦人男性は、深夜,コンビニエンスストアで買い物後、宿泊先ホテルに向かって,歩道を歩いていたところ、前後から現れた複数の若者に棒状の凶器等で襲われ、所持していた現金、クレジットカード、旅券が
入ったバックを奪われ、額付近を負傷するという路上強盗事件が発生した。同大使館は、睡眠薬強盗や路上強盗に気をつけるよう注意喚起しています。タイ通
比較的治安は良好ということになっているタイではあるが、あくまで「外国」、犯罪率は日本よりも遥かに高い。そして、旅行者を狙った詐偽や軽犯罪も多発していて、旅や海外に不慣れない日本人が狙われるケースもしばしば報告される。
では、言葉が出来ないからトラブルに巻き込まれやすくなるかというと、そうではない気がする。①のケースはおそらく日本語で話しかけられたのだろうと推測するが、意思の疎通がとれているがゆえのトラブルともいえる。
②の場合、おそらく会話などすっ飛ばしていきなり襲われたのではないだろうか。
これ以外にもケースはたくさん考えられると思うが、旅行者にとって大事なことは、タイで多発する詐欺や軽犯罪のケースを事前に頭に入れておくことや、自分なりにシュミレーションしておくこと、思慮深さや警戒心を持てるかどうか、だと思う。きっと「スキ」がある者から狙われて行くのだろう。
まとめ
タイは東南アジアの中でも比較的治安がよく、のんびりとしたおおらかな性格の人も多い。親日国としても有名であり、じっさいに私の旅の道中にも「日本人には好意的な気持ちを持っている」とわざわざ教えてくれる人もいた。
魅力的なタイ料理や観光スポットの数々。おそらく、海外旅行初心者にとってタイはよき「入門国」ではないかと思う。
そこそこ英語ができれば海外にも出やすいし、英語圏以外の国にも心理的にチャレンジしやすい気がする。しかし、日本語だけしか話せない人にとっては海外に出る際の「はじめの一歩」はかなり大きな労力を要するものなのかもしれない。
世の中には日本語のみで世界を渡り歩いてしまような行動力のある人も稀にいる。しかし、多くの人は言葉の壁の前でたじろぎ、国外へ出るのを躊躇してしまう。
もちろん、無理して海外へ行く必要などこれっぽっちもないけれど、英語や現地の言葉が出来ないからという理由で楽しみを減らしてしまうのは非常にもったいない気がする。
タイ旅行では、タイ語が出来れば完璧、英語が出来ればちょいちょい役に立ち、日本語だけでも「普通の旅」ならできるという、まあこれといって驚きもない、辺り前の結論になる。
最後に、タイでもそうだし、他の国でもしかり、邦人旅行者が事件に巻き込まれるケースがちょくちょくあるのは事実である。いくらタイの治安が良い方だとは言え、当然日本に比べたら悪い。あくまで「外国」なのである。
旅行をする際はくれぐれも気を付けて楽しんできていただきたい。