せっかくのタイ旅行も病気やケガによって台無しになったのではもともこうもない。
そこで、タイで特に気を付けなければならない病気の種類と予防法についてまとめておきたいと思う。
経済発展を遂げ、東南アジアの中心国であるタイだが、日本とはだいぶ環境が異なり、同じ意識のままでは痛い目に合うことになる。
一般的な病気からタイならではの疾患まで9つにまとめたので参考にしていただきたい。
1、風邪
タイのデパートや旅行者が使う長距離バスはエアコンが効きすぎている場合がある。
特に長距離バスに乗る際はかならず上着が必要になるだろう。
外は灼熱、車内は極寒となるので上着無しでは風邪をひく可能性はかなり高くなる。
2、下痢、寄生虫
怪我や病気をあまりしない著者だが、タイ旅行中に生魚を食べてしまい酷い下痢に悩まされた経験がある。
数年前、チェンマイの食堂で食べた生のブラックバスに当たったのだ。
タイで生魚を食らうとは完全なる愚行だったが時すでに遅し。
その日は一日部屋から出ることができなかった。
タイの風物詩の一つである屋台や低価格の食堂にはまだまだ不衛生な環境が多い。そこでは細菌、毒素、ウィルス、寄生虫があなたの体内に侵入する機会をうかがっている。
屋台飯を食べる際はそうした点に気を付けて選ばなければならないし、きちんとした店で食べればなんの問題もない。
軽症なら水分補給し安静にしていれば治癒するが、嗚咽や発熱を伴う場合はきちんと医療機関を受診する必要があるだろう。
旅先で医療費や時間ロスを食らわないためにも食べ物には気を付けたい。
ちなみにタイの水道水は飲めないので市販のミネラルウォーターを飲むように。
また、屋台や食堂で供される氷もあまり衛生的とは言えないのでなるべく口にするのは避けた方がよい。
不衛生な水や食品により罹患する病気として、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、腸チフス、またコレラ菌に汚染された水や食品の摂取で罹患するコレラ、生牡蠣などで罹患する可能性があるA型肝炎にも注意したい。
3、マラリア及び蚊媒介疾患
雄のハマダラ蚊に吸血されることでマラリヤ原虫に寄生され感染する。
六月から十月にやってくる雨季が流行時期で、バンコクなどの都市部でも発生する。
私も散々タイで蚊に刺されてきたが今の所マラリアに犯されたことはない。
防虫スプレーは必須アイテムで、これを室内外問わず定期的に吹きかけて置くことで予防できる。長袖を切るのも策だが、いかんせん暑いので現実的ではない。
デング熱の場合、急激な発熱と頭痛、筋肉痛、関節痛、発疹などを発症し、出血やショック症状を伴う重症型に発展するケースもあるため、怪しいと思ったらきちんと病院を受診し適切な処方をしてもう必要がある。
症状は一週間程度で落ち着く。二度目の感染では重症化するリスクが高まると言われるので、一度たりともかかりたくはない。
軽度の発熱、発疹、結膜炎などの症状がでるジカ熱。
妊婦が感染すると胎児に小頭症が発生するリスクが高くなるので要注意。
チクングニア熱は急激な発熱で発症し、多くが関節痛を伴い、ほとんどの場合は回復するものの高齢者は死亡するケースもある。
4、インフルエンザ
年間通して患者が発生し、タイの邦人社会では9~10月、1~2月に流行ることが多いと言う。
対策としては日本かタイの病院でワクチンを接種するか、手洗い、うがい、マスク着用となる。
5、結核
タイの結核の発症率は10万人当たり172人となっており、日本の17人と比べると未だに高い感染率を誇る病気ということになる。
症状は、血痰を伴う咳、胸痛、脱力感、体重減少、発熱、寝汗など。
タイ保健省によると、例えば2013年の結核患者が11万3900人だったのに対し、治療を受けたのは6万7000人あまり。
つまり5万人近くが治療を受けていない。
また、治療薬の服用を途中でやめてしまう人も多く、これが耐性菌を増やす原因となっているという現状がある。(エキサイトニュース参照)
結核菌は、咳やくしゃみをすると飛沫に含まれる結核菌が空気中で飛び散り、それを他の人が吸い込むことにより感染する。
予防策としては、人が密集する空間では特にマスク着用と、滞在中には免疫力が下がらないように食事や睡眠をきちんと摂ることが重要になる。
抵抗力の弱い乳幼児は結核に感染すると髄膜炎や粟粒(ぞくりゅう)結核などの重症になりやすく命の危険にすら晒される。
結核予防にはBCGが有効とされ、日本では生後一歳に至るまでに接種することになっているので、あとは上記した予防を徹底することになる。(公益財団法人結核予防会HP参照)
6、HIV感染症や性病
タイのエイズや性病事情に関しては別の記事に詳しいのでここでは割愛させてもらうが、タイは今でも東南アジアのエイズ大国であり、毎年多くの感染者をだしている国であることを忘れてはならない。
90年代初頭の爆発的な流行を乗り越え世界的にも評価されるほどの成果を上げたわけだが、近年では若者の性感染症率はふたたび上昇傾向に転じており、まだまだ汚名を返上で来たわけではない。
特に性風俗業界など売春地帯で働くセックスワーカーたちは日々HIVを含む性感染症に罹患するリスクに晒されている。
タイで夜遊びを考えている方はこちらの記事を参考にして節度ある行動を。
タイのコンビニや薬局でも避妊具は手に入るが、品質管理の面で国産を用意していくのが良いだろう。
また、血液を介して感染するB型肝炎にも要注意。
タイでは不衛生なタトゥーショップも多く、針の使い回しによる感染が危惧される。
性感染症は早期発見が肝
「不治の病」と恐れられたHIVも今では「慢性的感染症」。適切な治療で非感染者と同じように長く暮らすことができる。
その他の性病も初期症状が出た段階で治療を施すことが重要です。
性病検査は匿名、自宅で一人でできる時代になりました。
7、狂犬病
タイは首都バンコクから郊外、地方の田舎まで野良犬だらけ。
バンコク都内だけで10万匹の野良犬がいると言われており、大通りから路地裏まであちこちで見られる、まさに野良犬天国。
年間4500件の苦情が届き行政が捕獲するものの殺処分はしない。
国民の9割が仏教徒のタイでは国民が殺処分を許さず、故前プミポン国王が犬好きだったことも相まって国民の間に動物愛護の精神が浸透したこともこれに拍車をかけていると言う。(西日本新聞記事参照)
昼間は茹だるような暑さにぐったりしている犬たちも、日が落ち幾分涼しくる頃には息を吹き返して元気になる。
2018年の3月頃には、狂犬病の発症率が前年を上回るハイペースに達し、タイ保健省が特に感染が拡大している「レッドゾーン」を発表すると言う一幕もあった。
ちなみにその時警鐘が鳴らされた地域とは、北部チェンライ県、東北部のウボンラチャタニー県、シーサケット県、ブリラム県、そして首都バンコクだった。
タイ全土では公表されない分も含めると毎年100人以上が犬に咬まれて狂犬病を発症し命を落としていると言う。
ちなみに狂犬病を発症すると、人も動物も100パーセントの致死率である。たとえ事前に予防接種を受けていたとしても、もし狂犬病の犬に咬まれたら速やかに病院へ行きワクチンを接種しなければならない。
タイではないものの、同じ東南アジアの国であるフィリピンで2019年2月、旅行で訪れていたノルウェー人女性が狂犬病に罹った野良犬に咬まれ死亡するという事件があった。
ノルウェーの病院に勤務していたビルギッタ・カレスタッド(Birgitte Kallestad)さんは2月、友人たちと休暇で訪れていたフィリピンでオートバイに乗っていた際、道端で「寄る辺のない」子犬を発見。
カレスタッドさんの遺族は9日、「ビルギッタは子犬をかごの中に入れて連れ帰った。体を洗ってあげ、世話をすると、うれしいことに子犬は回復し始めた。滞在先のリゾート施設の庭で子犬と一緒に遊んでいた」と説明。「その後しばらくすると、子犬は他の子犬がそうするように、ビルギッタたちをかもうとし始め、一緒に遊んでいる最中に彼女たちの指をかんだ」と述べた。
カレスタッドさんは帰国後、体調を崩し、自身が勤める病院で集中治療を受けた。だが6日夜、この病院でカレスタッドさんは息を引き取ったという。
遺族によると、カレスタッドさんと友人らのグループは誰も狂犬病の予防ワクチンを接種していなかった。
遺族はまた、「私たちの愛するビルギッタは動物が大好きだった。私たちが恐れていることは、ビルギッタのような優しい心を持つ人に、こうしたことが起こり得ることだ」と話している。AFPBB News
タイでも同様の事件は十分起こり得るし、特に動物好きな人は犬や猫に対して無防備になり過ぎないように気を付けなければならない。
さて、タイの場合、野良犬はいくつかの種類に分類されると言う。
1、放し飼いにされている飼い犬
2、寺の周囲などにいて強い縄張り意識を持ったコミュニティー犬
3、うろついているだけのホームレス不良犬
対処方法として、まず野犬に近付かない、特に夜は元気なので野犬のいそうな場所を避けて歩くなど。
乗り物移動なら心配ないが、徒歩になった時が要注意だ。
犬は「見たことが無いものに驚く」という習性を持っているらしく、運悪く襲われそうになったら「奇妙な態勢を取る」という方法が冗談抜きで効果的らしい。
また、正面から突く動作にも弱いと言われるため、傘や棒で脅してみるのもありだ。
(フリーペーパー「バンコクライフ」参照)
狂犬病に罹った犬は見た目がやけに病的であったり、まるでゲーム「バイオハザード」の「ゾンビ犬」の如き狂気に満ちた姿になる。
もちろんその姿には個体差もあるだろうし、ただの弱った子犬だと思ったら前述の事件のようなケースにもなりかねない。
万が一、野良犬に咬まれた場合は、予防接種を受けていても、
1、傷口を清潔な水と石鹸で洗い流し
2、すみやかに現地医療機関を受診し、傷の手当と狂犬病のワクチン接種を受け
3、帰国時に検疫所(健康相談所)へ申し出る
(厚生労働省HP参照)
という流れになる。
8、毒蛇咬傷
バンコクのど真ん中であっても、下水などから大蛇が現れて住民が襲われるという事件はたびたび報道される。
特に雨季は下水が道路に氾濫するなど地下にいた大蛇が地上にこんにちわする事件が増加する。
【タイ】6日夜、バンコク都バンナー区の住宅の梁に大蛇がいるのがみつかり、通報を受け駆けつけた消防署員が捕獲した。捕獲したのは全長約6メートルのニシキヘビ。《newsclip》
【タイ】8日、バンコク都心のソイ・スクムビット33通りの民家の庭で、全長約3・5メートルのニシキヘビがみつかり、通報を受け駆けつけた消防署員が捕獲した。現場は日本人が多く住む高級住宅街。《newsclip》
日本人旅行者の泊まるきちんとしたホテルでそんなことが起こるとは考えにくいいし、仮にお目見えしてもとにかく逃げるしか手はないが、タイには56種類の毒蛇が生息し、バンコク中心部においてもキングコブラが目撃されているという実態は頭に入れておきたい。
特に郊外や地方を観光する際は、ちょっとした草っぱらにも近づかない方がよいだろう。
咬まれたらもちろんすぐに病院へ向かおう。
9、PM2.5による気管支炎や喘息などの疾患
2018年の年末頃から特にバンコクのPM2.5による大気汚染が声高に叫ばれるようになった。
大気汚染の主な原因は、排気ガス、道路や輸送システム、コンドミニアムの建設による粉塵で、雨量の少ない乾季、大気の停滞により発生したスモッグが形成されていることによると考えられている。
タイの多くの大気質指数観測所で健康への悪影響が危惧される「100」を上回り、特に危険な粒子状物質であるPM2.5の濃度が安全基準の2倍になった。(地球の歩き方HP参照)
現在、バンコクの汚染は幾分収まったものの依然として危険な数値を保っており、特に北部では屋外活動を自粛せねばならないほどの高い汚染指数となっている。
そういう意味では現在タイ旅行をするのに適したタイミングとは言えず、汚染が収まってからの訪タイを推奨したい。
もし訪タイするならPM2.5対応の防塵マスク着用が必須となる。
タイでも購入できるようだが、いつ売り切れになるか分からないため、日本で買い込んでいくことをお勧めしたい。
タイの大気汚染の現状を把握するにはこちらのサイトが便利だ。
タイの医療水準。支払い能力が無いと判断されれば受診を拒否されることも。
タイの医療水準は高く、「医療ツーリズム」が盛んにおこなわれているほど。
バンコクやチェンマイの公立基幹病院や主な私立病院なら日本の医療レベルに見劣りしないサービスを受けることができる。
そうした病院では、日本語通訳部や日本語外来が設置され、現地の日本人が安心して医療サービスを受けられる環境が整備されている。
私立病院の医療費は欧米より安く日本よりもやや高め、と考えてよい。
海外では治療費の支払い能力が無いと判断されれば治療そのものを拒否されるケースもある。
こうしたケースを回避するには、海外旅行保険に加入していることを証明したり、クレジットカードを提示するなどの策が考えられる。
緊急時に速やかに現金を用意できない場合を考え、あらかじめ海外旅行保険に加入しておくのが無難である。
保険会社が提携する現地の病院であれば、キャッスレス診療を受けることが可能となり、万が一の時も安心して来院することができるだろう。
おすすめは楽天カードに付帯の海外旅行保険
年会費無料の楽天カードには海外旅行保険の利用付帯がついている。
10800円の年会費がかかる楽天プレミアムカードなら海外旅行保険は自動付帯、現地で現金無しの医療サービスが受けられるキャッシュレス診療もついている。
ちなみに楽天カードの方も大々的にキャッシュレス診療が受けられることを謳ってはいないものの、じつは条件を満たしていればサービスを受けられる。
詳しい補償額はこちらの記事に書いてあるのでご参考に。