タイ東北部、イサーン地方。
ノーンカーイは北イサーンの最北端に位置する、メコン川の対岸にラオスを望んだ国境の街。
観光地としてもそこそこ有名で、ラオスの首都ビエンチャンへ出る際の要衝として旅人やタイ長期滞在者にもよく知られている。
悠々と流れるメコン川、のんびりとした時の流れに惚れ込む外国人も多く、ファラン(欧米人)たちの老後の移住先としても人気がある。
メコン川に沈む夕日。
国鉄フアランポーン駅からノーンカーイ駅まで寝台列車で約11時間、料金838バーツ
手段はバス、飛行機、寝台列車とある。
今回は、そこそこよく寝れそうで、睡眠中に移動でき、なおかつ旅の風情も味わえそうという理由から寝台列車を選択した。
地方出身者にとってのバンコクの玄関口
国鉄フアランポーン駅構内。
国鉄フアランポーン駅、別名バンコク駅。
バンコクの中華街にもほど近く、ドーム型の趣あるこの駅はタイの地方者にとっての「バンコクの玄関口」、そのデザインや機能からどこか東京上野駅を彷彿とさせる。
バンコク市内からMRTで向かう場合、MRTフアランポーン駅で下車する。
料金
チケット売り場は駅構内の西側、駅の正面口から直進して左奥の方にある。
係り員に「ノーンカーイ」と伝えれば窓口を案内してくれるはず。
今回乗ったのは二等寝台列車で下段838バーツ、雨季のローシーズンだったせいか予約なしで購入できた。
二段ベッドの上下が選べ、窓の無い上段は748バーツと下段の方がちょっとだけ割高になっている。
ちなみに、一等客室の寝台料金は乗車券497バーツ含み上段で1157バーツ、下段で1357バーツ。
三等客室だと乗車券が103バーツ、寝台車は無い。
一日の本数はたしか4本、うち18時以降に発車する三本が夜行列車で、20時発の列車のみ寝台列車が付いている。
- バンコク8:20発ーノンカイ17:45着
- バンコク18:35発ーノンカイ翌朝4:15着
- バンコク20:00発ーノンカイ翌朝6:45着→寝台列車あり
- バンコク20:45発ーノンカイ翌朝8:35
(本数や料金変更の可能性あり)
私の出発時刻は午後8時、約11時間の長旅だがほとんど寝るだけなので楽なもの。
いつも長距離移動は大抵バスを使う。バスは臀部の痛みに耐えなくてはならず、眠りも浅くなりがち。
だが今回はそうした心配は無用。
食堂車両(もちろん割高)も付いているようだが、時間も時間なので軽食を買い込んでから乗り込むことに。
ちなみに座席にはミネナルウォーターあり。
構内にはカフェや売店、屋台も入っている。
駅周辺で人間観察
出発まで時間があったので構内のカフェで休んだり駅周辺をプラプラして時間を潰すことに。
ファランポーン駅周辺には、昼間からぶらぶらするおじちゃんや気の触れた浮浪者、くたびれた物売りたちの姿も見受けられる。
真夜中には、どこからか集まってきた宿無しの出稼ぎ者たちの寝床と化す、そんな話も聞いたことがある。
そうした人々の多くはもちろん地方出身者、特に多いのがこれから向かうノーンカーイしかり、イサーン地方を故郷とする者たちなのだ。
行き交う市民や旅行者たち。地べたに力なく座り込む者や、物売りの姿も。
スコール
雨季の風物詩、スコール。
雨具がどこまで有効か、、、。
潔く水浴びするか、屋根の下へ駆け込むほかない。
スコールは半端じゃない。しばしの間、駅周辺は地鳴りのような轟音に包まれた。
駅の屋根から滝になった雨水が入り込み、売店の周囲はたちまち水浸しに。
床に座るタイ人
ファランポーン駅構内は床に座る人々で溢れている。
構内のど真ん中は、人々が座れるような寛ぎスペースになっている。
電車を待っている人もあれば、構内で一日中涼んでいる人と様々。
伝統的にタイ人は床で食事をし、床に寝る。
「水の民」と呼ばれるタイ人は「床の民」でもある。
男女ともに基本は胡坐をかく。ちょっと上品に行くならいわゆる「膝を崩した」座り方をする。
日本で言うところの「お姉さん座り」だろうか。
駅構内はコンクリートのため、ひんやりして余計に気持ちよさそうである。
駅構内で胡坐をかく人々。
こちらは某地下鉄駅の構内。日本では行儀悪いとされる行為だが、タイでは違う。
駅周辺で宿を取るならザ・クルンカセームホテル
国鉄フアランポーン駅のすぐ南側、クルンカセーム運河を挟んだところに、老舗のクルンカセームホテルがある。
国鉄フアランポーン駅はイサーン地方、北部のチェンマイや古都アユタヤ、そして南部へ列車で足を伸ばす際の基点になる駅。
最寄りの手頃な値段のホテルを探すならクルンカセームホテルがおすすめ。
いよいよ乗車
乗車すると、自分のシートの所にタイ人の家族がいた。
老齢の女性がこれからウドンタニーへ帰る母、彼女を見送りに来たバンコクで働く娘と孫のようだった。
「母は膝が悪いの。ベッドの上下を交換してもらえないかしら」
眼鏡の娘に英語で懇願される。
際どい梯子の上り下りは母にはきついということだった。
私のベッドは下、彼女の母は上だった。下のベッドにだけ窓があった。
早朝、朝日の撮影を狙っていたので多少がっくり来たが、まさか断る理由はなかった。
結局、窓の無い上のベッドで私が寝ることになった。
しばらくして娘と孫は電車を降りた。ホームから窓越しに笑顔で手を振ってから人ごみに消えて行った。
大都会バンコクで奮闘する娘、イサーンの田舎で我が子や孫を思う母。
そんな勝手な想像を巡らせる。
次に会うのはいつのことやら。
ちょっとした一幕にほろっとする。
フアランポーン駅にはそんな哀愁が詰まっているような気がする。
足を伸ばせる幸せ。冷房キンキンなのでタオルケットだけでは心もとない。上着必要。
ノーンカーイ到着
朝、車掌がベッドを畳に来た。
下へ降りると窓の外は田園風景だった。
涼しいうちの一仕事か、耕運機を転がす農民の姿が見えた。
野良犬がかけ、水牛が草を食んでいた。
母は、ウドンタニー駅で下車した。
私は、次のノーンカーイで降りた。
トゥクトゥクで市街地へ
駅前には、トゥクトゥクが列をなして待ちわびている。
市街地までは10分ほど、たしか150バーツほどだったと思う。
※後で調べたら150バーツはかなりぼられた額でした。駅から市街地までは50~60バーツが相場。旅慣れたつもりですが、疲れたていたり、ちょっと気を抜くとすぐにボラれます。