HIV 病気・怪我

ブライダルチェックと早期エイズ/HIV検査の勧め。

投稿日:2017年7月21日 更新日:

 

 

 

結婚を控え将来的に妊娠を望む方が、その妊娠力を検査することをブライダルチェックと言う。

 

ブライダルチェックはもともと婦人科検診の一つで、妊娠や出産に影響を与えうる疾患の有無を検査するもの。

 

まだそこまで一般的ではないものの、女性だけではなく男性の方も精子検査などを含むチェックを受けることができる。

 

「不妊の原因の4~5割は男性側にある」とも言われるように、本来ブライダルチェックは男女ともに受けるべき検査なのだ。

 

そして実際に1~2割の方に疾患が見つかっているとも言われている。

 

 

ブライダルチェックの検査内容と性感染症

 

 

検査を受けるクリニックやオプションによって多少の差異は出て来るが、ブライダルチェックの基本的な検査内容はざっと以下の通りになる。

 

 

女性の場合

 

  • 問診
  • 内診
  • 血液検査
  • 子宮(頸・体)がん検査
  • 超音波(エコー検査)
  • 分泌物・尿検査

 

 

男性の場合、内診、子宮がん検査、超音波の代わりに精子検査が含まれる。

そして、当然だが血液検査にはHIV検査などの性病検査も含まれている。

 

ブライダルチェックにより、何かしら健康上の問題があれば妊娠に向けて改善していくことになる。

しかし、その改善と言うのは「あくまで可能な限りにおいて」である点を忘れてはならない。

 

 

 

ブライダルチェックでは間に合わない?例えばHIV感染は早期発見が致命的に重要である。

 

 

あらゆる健康上の問題は早期に発見されるべきで、ブライダルチェックも妊娠に関わる以上出来るだけ早く受診するに越したことはないはず。

 

しかし、ブライダルチェックという名の通り、一般的には「結婚に際して受けるエチケット的な検査」という認識が強くましてや義務ではないため、結婚の予定のないカップルであればなおさら意識の枠外かもしれない。

 

忘れてはならないのは、病気は刻々と進行するという事だ。そして、より早く発見し適切な治療に取り掛かるのが理想である。 

 

例えば、HIV感染もまた、早期発見が死活的に重要な疾患の一つである。

 

 

「いきなりエイズ」、そして感染後一年足らずで早くもエイズが発症するケースも。

 

 

日本は今、先進国中で唯一HIV感染者の増加が進んでいる。

 

各国のエイズ患者の報告数が減少傾向にあるなか、日本だけがじわじわとその数を伸ばしているわけだ。

 

その主な原因は、予防意識や検査率の低さに他ならない。

 

日本だけが緩い右肩上がりを描いている。

 

 

そんな中、ずっと感染していることを知らずにある日エイズを発症してしまう「いきなりエイズ」の増加問題がメディアを通して盛んに叫ばれるようになり、また基本的には5年~10年と言われる潜伏期間のはずが、感染後1年で早くも発症するという驚愕のケースも少なからず出て来ているという現状がある。

 

一方で、かつては不治の病と言われたHIVも現在では「慢性的な感染症」とまで呼ばれており、早期発見と適切な治療により限りなく非感染者に近い暮らしを長期に渡り送ることが出来るようになっているというのは希望の光でもある。

 

また、HIV感染者の年間治療費の自己負担も福祉制度などの恩恵に授かれば数万円代に抑えることが可能であり、感染者への差別や偏見がいまだに残っているという人々の意識の遅れはあるものの、基本的には早期発見さえできれば大きなメリットを得られる環境が整いつつあり、とにかく早く検査を受けるのが明らかに合理的な判断と言える。

 

いきなりエイズや5年以下の潜伏期間後の発症も、とにかく早期検査さえしていれば防ぐことができたわけである。

 

 

結婚を待たず、気軽にHIV検査へ。

 

 

早期発見が特に重要なHIV検査に関しては、ブライダルチェックのついでに受けるのではなく、心当たりが少しでもあれば個別に受診するべきというのが個人的な考えである。

 

心当たりと言ったが、避妊具を正しく着用していれば性交渉による感染はほぼ完全に防ぐことが出来ると言われる一方で、それでも100%ではない点から、「性交渉体験がある方はとにかく一度受けてみるべきだ」と主張する医師もいる。

 

それと、「感染後の初期症状が無いから大丈夫だ」というのも考え物。

 

HIVに感染した場合、約半数以上の方に初期症状が現れる。感染後半年以内に2週間程度の間風邪やインフルエンザに似た症状が出るケースが多いのだ。

しかし、逆に言えば約半数は感染していても初期症状が無いのだから少しでも身に覚えがあれば検査を受けるべきだのだ。

 

ブライダルチェックとしてHIV検査を受けるのは当然だが、それ以前に大切なパートナーに移さないためにも、なによりも自分自身を大切にするためにも、少しでも不安があれば検査に向かうというのが合理的な判断だろう。

 

HIV感染者がその事実を知らぬまま暮らした場合、一生のうちに7人に感染させると言われている。

 

それ自体も大問題だが、医療経済という面から見ても、福祉制度に頼らざるを得ない感染者増加を未然に減らしていくことは、財政の圧迫を避けると言う点でも理にかなっている。

 

また、ブライダルチェックは保険適用外で自己負担を強いられるが、HIV検査の場合は保健所なら匿名・無料で受けることができるので最寄りの保健所で事前予約の後わりと手軽に受けることができる。

 

実は私も保健所でHIV検査を受けたことがあるのだが、想像以上に20~30代の若い世代の受診者の姿が目立っていたのには少々驚いた。

 

今後の医療の発展に期待すると同時に、無知や誤解、偏見や差別が改善され、また今よりも気軽に検査を受ける人が増えるようになれば良いと思う。

 

 

最後に、匿名とは言え、他の受診者との接触や対面での受診に抵抗があると言う方は、自宅で匿名で受けられる検査キットという選択肢もある。

 

 

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