アンコールワット カンボジア シェムリアップ

アンコールワット遺跡観光の手引き。定番コース「大回り」と「小回り」、見学レポートまで。

投稿日:2016年11月16日 更新日:

 

カンボジアのアンコールワットを観光してきた。

タイのバンコクからバスでカンボジアのシェムリアップへ。シェムリアップはアンコール遺跡観光の拠点となる町で、中心となる遺跡群からは約6キロほど南に位置する。ここに4泊5日することになった。(予算の目安はこちらの記事を参考に)

遺跡観光は私の場合、わずか一日で十分に満足することができた。マニアや特別な遺跡好きでもない一般の観光客なら、1日~3日ほどで十分に堪能できるという感想だ。

しかしアンコール遺跡群そのものは広大なジャングルにほぼ無制限に点在する、たとえ一週間でも見切れないほどのスケールを有している。巷では「アンコールワット」だけが群を抜いて有名だが、この寺院は遺跡群の代表的な一つに過ぎない。

 

アンコールワット観光の手引きをまとめた。シェムリアップ市街地から遺跡群への移動、入場券購入などの観光の仕方から注意点、そして最後に自身の見学レポートもあるので参考にしてみて欲しい。

 

 

そもそもアンコールワットは広大な遺跡群の氷山の一角。

 

Exif_JPEG_PICTUREアンコールワット。中心的な遺跡群はほんの氷山の一角。

 

ユネスコ世界遺産にも登録されているこの寺院をもう少し具体的に説明するなら、クメール王朝時代に造られた広大なアンコール遺跡群のうちの代表的なヒンドゥー教寺院建築物、と言ったところ。

また、世界三大仏教遺跡とも言われ、仏教とヒンドゥー教の遺跡が混在している点も大きな特徴になる。

 

同じユネスコ世界遺産、タイのアユタヤー遺跡も有名だが、アンコールワット遺跡は規模がけた違いにデカい。

遺跡群の面積は42平方キロメートルでこれは東京ドーム約1350個分に相当する広大なもの。その中には373にも及ぶ遺跡が点在しており、大きなものだけでも60を超える。

つまり、誰もが一度は写真などで目にしたことがあるアンコールワットはもちろん、観光客に鉄板のアンコールトム、その他の主要な遺跡はほんの氷山の一角に過ぎないというわけ。

ただし、心配は無用。

冒頭で述べた通り、主要観光エリアは1日~3日でも十分に見て周ることが可能になっている。

 

 

 

アンコール遺跡の観光には「入場券+トゥクトゥクやミニバンのチャーター」が必要。

 

アンコールワット遺跡の観光には入場チケットと足の確保が必要になる。

宿泊先のホテルや街でトゥクトゥクやミニバンをチャーターし、シェムリアップから遺跡群へ。遺跡群入り口手前のチケット売り場で入場券を購入して入場し見学をスタートすることになる。

遺跡から遺跡へはトゥクトゥクや車で移動、ついたら降りて歩いて見学するという感じになる。

 

観光の足はほぼすべてのホテルやゲストハウスで手配可能。街でトゥクトゥクを拾えば安上がり。

 

Exif_JPEG_PICTURE

世話った芸人ノッチのドライバー。

 

観光の足は4人ほどまで乗れるトゥクトゥクが一般的。宿泊するホテルやゲストハウスで手配をしてもいいが、大抵は料金が高め。専属のドライバーは値引き交渉に対してガードが固い。

だから、自力でトゥクトゥクを見つけてしまうのも一つの手。私もそうした。ホテルの提示額より安く済む可能性が高い。

 

ホテル周辺や街角にはトゥクトゥクがうようよしている。その中から優しそうなドライバーを見つけてまけてもらうに限る。だめならさっさと見切りをつけて次を探す。

彼らは片言の英語や日本語ができて交渉にも慣れている。簡単な英語とガイドブックへの指差しで意思の疎通は十分にとれるはず。

遺跡を単発で見てもよいし、一日かけて複数を周ってもらうもよし。どのようなコースで遺跡を周りたいのかドライバーに相談し料金交渉をしよう。

 

定番の見学コースは「大回り」と「小回り」の二つ。朝日、夕日鑑賞などもオプションで。

 

Exif_JPEG_PICTUREトゥクトゥクドライバーはこんなマップを持っていた。紫の小さなラインが小回りコース。

 

アンコールワットやアンコールトムなどの主要遺跡を一日で見学する方法として「大回り」と「小回り」コースが定番。

一般の観光客はこのどちらかのコースを利用すれば十分。

 

現地ホテルが提供するそれぞれのコースの目安料金(トゥクトゥクの場合)と大方の見学メニューは以下のような感じになる。

 

小回りコース(1日、1人利用で12ドルほど)

 

アンコールワット→アンコールトム→トマノン、チャウ・サイ・デポータ→タ・ケウ→タ・プローム→バテアイ・クディ→スラ・スラン

 

大回りコース(1日、1人利用で15ドルほど)

 

アンコールワット→アンコールトム→プリア・カン→ニャック・ポアン→タ・ソム→東メボン→プレ・ループ

 

両コースともアンコールワットとアンコールトムは押さえている。見学遺跡数は変わらないが、大回りの方が移動距離が長くなりほぼ一日費やすことになる。

また、いずれのコースにせよ、人気の「アンコールワットの朝日鑑賞」を希望なら早朝5時前にはシェムリアップのホテルを出発しなければならない。その場合、朝日鑑賞で5ドルほどかかるのが普通だがきちんと確認、交渉しよう。

 

ちなみにこの両コースは遺跡の歴史や時系列とは無関係、単にツアーとしての効率を重視して構成され普及しているものに過ぎない。そういう意味であくまでも一般の旅行者向けのものである。

予め自分の興味関心に合わせてコースを組み、ドライバーと値段交渉をするなり、レンタルバイクを借りて自力で周るのも面白い。

 

入場券、最もポピュラーなのは3日間チケット。

 

Exif_JPEG_PICTURE日の出前の入場券売り場。

 

購入場所はアンコールワットの手前、遺跡全体のメイン入り口に位置する。

 

トゥクトゥクで観光するなら黙っていてもドライバーが立ち寄ってくれるし、バイクなど自力で観光するなら初日の朝にでも立ち寄って買い求めればよい。

 

入場券の購入には料金とパスポートが必要になる。以前は写真の持参が必要だったようだが、現在は窓口で撮影してくれる。

入場券の種類は3つあり、以下の通り。

 

1日入場有効券:US20ドル 

3日入場有効券:US40ドル

7日入場有効券:US70ドル

 

これらの入場券が適用される遺跡は以下になる。当然、大回り小回りコースはこのチケットで見学できる。

 

アンコールワット、アンコールトム(バイヨン寺院)、タプローム、バンテアイクデイ、タケウ、プリアカン、ニャックポアン、東メボン、プレループ、バコン、プリアコー、ロレイ、バンテアイスレイ、クバルスピアン

 

チケットの有効日数が許す限り、上記のアンコール遺跡群へのアクセスが許可されるというわけだ。焦点を絞り一日で怒涛の見学をするもよし、数日かけてじっくりと見て周るもよし。

 

ちなみに、1日観光の場合、小回りコース→プノンバケン山から遺跡群の夕陽鑑賞がおすすめ。

3日間入場有効券が最もポピュラーで、郊外の遺跡も含めて隅々まで堪能したい遺跡好きなら7日間入場有効券がいい。

 

ちなみにこの遺跡入場券売り場にはパンやコーヒーなどが売っているので、朝日鑑賞の際にはここで簡単な朝食を買うことができる。

 

別途入場料がかかる郊外の遺跡

 

郊外に点在するベンメリア(5$)やプノンクーレン(20$)、コーケー(10$)、プレアヴィヒア(10$)の見学には別途入場料が必要なのでその点お忘れなく。

これらの遺跡はシェムリアップからだと一時間以上かかり、遺跡間の距離も一層長くなるため、複数見て周ろうとすれば丸一日かかることになるだろう。その場合、トゥクトゥク移動なら料金の目安は40~45ドルほど。

 

 

持ち物や注意ポイント

 

遺跡観光に際しての持ち物や注意ポイントをさらっと上げておくので参考にしてほしい。

 

持ち物は、ミネナルウォーター、日焼け止め、虫よけスプレー、サングラス、特に雨季は雨具、タオル、土埃が多いのでマスク、訪れえる遺跡によっては上り下りの際の軍手。

靴は動きやすい履きなれたスニーカー、サンダルならしっかりとした作りのアウトドアサンダルなど。

蚊や虫に刺されにくくするために長ズボンが無難。これは万が一の感染症対策にもなる。また、露出度の高い恰好だと遺跡入場を拒否される場合があるので注意。

注意点としては、いうまでもなく、むやみに展示物に触れない、落書きをしない、大声で話さないなど、常識的な振る舞いを心がけること。

遺跡周辺には昼食や軽食がとれる食堂があるが、一品で5~6ドルなど通常の倍以上の値でぼったくろうとする。

しかし交渉すれば2ドルほどの常識的な値段まで下げることができるし、トゥクトゥクの運転手に間に入ってもらうなどうまくやれば安上がりで済ませることができる。

また、お土産などの物売りがしつこい場合もあり、中には子供の物売りに情が絆されてなんていうこともあるかもしれないが、そうした場当たり的な対処は賢明とは言えない。

 

現地オプショナルツアー

 

純粋に観光だけを堪能したいのであれば現地オプショナルツアーに参加するのも一つの手。こまごました心配事や面倒から解放される。

ツアーのバラエティーは豊富でガイドも付けることができ、特に大気球に乗ってアンコールワットの朝日鑑賞などは目を引く。

 

 

遺跡群観光小回り篇レポート

 

早朝5時前、前日の約束通り、ノッチ似のトゥクトゥクドライバーはホテルの前まで迎えに来てくれていた。

辺りはまだ真っ暗、まずはトゥクトゥクで遺跡群入り口の入場券売り場を目指しそこでチケットを購入、その後アンコールワットの朝日鑑賞へと向かう。

アンコールワット手前の駐車場で一端ドライバーと別れ、そこからは一人で遺跡に侵入していく。

 

アンコールワット朝日鑑賞

 

 

Exif_JPEG_PICTURE曇り空、朝日を見せてと、アンコール。ごらんの通り、見えなかった朝日。こんなこともあるので、3日くらいは確保しておいた方がいいかも。

 

アンコールワットは東西1500メートル、南北1300メートルという広大な敷地を持っており、その周囲に幅190メートルほどのお濠が取り囲んでいる。

西参道を渡り、西門を潜るといよいよ祠堂群が見えてくる。

中央祠堂を中心とした五つの祠堂は、インド神話に神々が住むインド神話の霊峰メール山をイメージして作られたとも言われている。

 

アンコールワットの朝日鑑賞は観光の定番になっている。

一方で、寺院は西側を向いて立っているため朝日鑑賞を除けば基本的に午後からの見学が奨励されている。

 

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西参道西
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西門。雲がもどかしい朝日だが、これはこれで神々しい。

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西門を潜ると祠堂が見えてくる。

Exif_JPEG_PICTUREこの辺りが丁度いいポイントだろうか、、、。

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聖池に映る寺院も人気の被写体。

Exif_JPEG_PICTURE左手の大きな聖池にも大勢の観光客が集まっている。お目当てはもちろん水面に映る逆さのアンコールワット。

 

 

参道を渡り終えると次に十字型テラスを通過し、その後第一回廊、第二回廊、第三回廊と貫通遊歩、そしてついに尖った祠堂群へ辿り着くことになる。

 

内部についての詳細は現地でのお楽しみという事でここではこれくらいにしておくことにする。

 

Exif_JPEG_PICTUREクメール美術を代表するといわれる回廊の浮彫も大きな見どころ。女性像「デバター」。

Exif_JPEG_PICTURE周辺にはこんな看板も。(”Beaware of Monkey Attack”、サルの襲撃に注意せよ)。 

 

この時はお目にかかれなかったが、じっさいに第一回廊には猿が住み着いているようで、観光客の残した食べ物などを漁っている。

アンコールワットは元々密林の中で発見された遺跡で、観光用に切り開かれたと言えどまだ周囲は密林そのもの。サルがいるのは当然だ。

回廊のレリーフ(浮彫)にはサル軍も描かれており、縁は深い。

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早朝の売り子の少女たち。カンボジアでは子供の売り子も目立つ。

 

アンコールトム

 

 

 

アンコールワットの次に向かうのが、その北に位置するアンコールトムという城砦都市遺跡。
この古代都市は一辺が約3キロのほぼ正方形、周囲を高さ約7メートルの城壁に守られており、外に環濠を持つ。
 
 
南大門から入り、中央にバイヨン、その周辺には象のテラスや王宮跡、ヒンズー寺院のピミアナカスなどが残っている。
 
 

南大門

 
 

Exif_JPEG_PICTURE南大門と54体の巨人の石像群。

 

アンコルトム南に位置する「南大門」から都市内部へと侵入する。

門の前はお濠を渡す橋になっている。ここでトゥクトゥクから降りることを提案される。どうやら「門の内側で待っているから君は歩いて渡りなさい」とのこと。

両側に立った厳つい面の石像たちとすれ違いながら前進する。

 

 

左側に並ぶ像は神々、右側の像は阿修羅、両者とも綱引きの様にして抱えているのは七つの頭を持つ大蛇「ナーガ」の胴体である。

 

 

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神々。

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阿修羅。

Exif_JPEG_PICTURE大蛇の胴体を抱えている。

Exif_JPEG_PICTURE内側から見た南大門。四面塔に浮き出た菩薩が不気味さを湛える。

 

 

バイヨン寺院

Exif_JPEG_PICTUREアンコールトムの中心、仏教寺院のバイヨン。

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四面塔に浮き出た観世音菩薩。

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女性像、デバター。

Exif_JPEG_PICTURE貴族や庶民の暮らしを描いた浮彫。

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掃除婦。

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再びデバター。

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四面塔群。

 

 

バブーオン寺院

 

 

Exif_JPEG_PICTURE寺院へと延びる参道は「空中参道」と呼ばれる。

 

 

アンコールトムの目玉はバイヨン寺院だが、このバンブーオン寺院が作られたのは11世紀中期ということで歴史は古い。

 

見所は雨季の空中参道と寺院上からの眺望だろうか。

雨季には参道両側の池の水嵩が増し、より「空中参道」の様相を呈するということらしいのだが、じつは7月の今が雨季。

今後雨量が増すにつれて、なのだろうか?

 

 

 

Exif_JPEG_PICTURE屋上からの眺め。奥に池のようなものが見える。これから水嵩がさらに増すのだろうか、、、。

 

タプローム遺跡

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自然の生命力を体感できるタプローム遺跡。

 

 

途中、スキップした遺跡もあるが、とても印象深かったのが最後に見学したタプルーム遺跡。

 

 

Exif_JPEG_PICTURE巨木が遺跡を跨ぎ通るかのようにも見える。

 

根は土中まで到っているのだろうが、同時に遺跡に支えられていようにも見える。いずれにせよ、巨木が遠慮なく人工物を犯している様子がとても生々しい。
 
いとも簡単に遺跡を跨ぎ通るかのよな姿は、自然の生命力の優位性を示唆しているようにも受け取れる。
 

発見当初と変わらぬ状態を維持するため、樹木の伐採などは行われないまま現在に至っているという話だ。

 

 

 

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カンボジアの犬もタイと変わらずこの通り。もし犬に生まれ変わるなら、タイや東南アジアの犬が理想だ。Exif_JPEG_PICTURE

遺跡付近では、地雷の犠牲者なのだという、盲人や義足の演奏家たちが音色を奏でていた。

 

 

遺跡の周辺には大人のみならず子供の物売りも多かった。

こちらが日本人と分かると「オニイサン、カウー」などと片言の日本語でお土産を売り込んで来きた。

かなり粘り強くくっついて来る者もいるが、情で買ってあげたところでなんの解決のにもならない。

だいぶ切実なものを感じたが、これはお隣タイではほとんど見られない光景だった。やはりカンボジアの方が貧しいのだろう。

 

 

カンボジアのお土産を通販で買う

 

カンボジア旅行のお土産は日本から通販で買うこともできる。

通販で買えるのはお菓子や酒類、小物類などの定番商品が中心となり、職場や友人に無難なお土産を配るのに向いている。

現地から身軽に帰国したい場合や帰国後の買い忘れの補充にも最適。

カンボジアのお土産通販サイトはこちらの記事を参考に。

 

 

 

-アンコールワット, カンボジア, シェムリアップ

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