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自分も含め、タイに出来るだけ長くステイしたい方には朗報だ。なんと、タイの内務省は現在、長期滞在者向けに新しいビザの新設を検討しているようなのだ。
そのマルチプルビザとやらがあれば半年から一年の間滞在することができるようになると言う。2015年の旧正月あたりまでには、新設の如何が決定するとのこと。
現在議会で検討中のこのビザは、滞在期間によって2つのタイプに分けられる。NNT(Natinal News Bureau of Thailand)
具体的には、
2000バーツを支払い、6カ月間の滞在が許可される。
1000バーツを支払い、1年間の滞在まで延長できる。
というもの。
つまり、合計3000バーツを支払えばタイでの一年間の滞在許可を得られる。
このビザの狙いとしては、経済の躓きにより減少したロシア人旅行者を補う形で「バルト諸国からの新たな観光客の取り込み」としており、大きな経済効果が期待されている。
海外ノマドや、タイ好きの私のようなものにとってもこのビザの新設は喜ばしい。
ところで、誰でもお金さえ支払えば申請できるのだろうか?
観光ビザの取得に必要な書類を思い出してみても、おそらくこのビザの申請にも複数の必要書類の提出が求められるのではないだろうか。銀行の残高証明書や身元が証明できるいくつかの書類が必要になることが予想される。そんな気がしてならない。
まあ、それにしても、メリットの方が大きいわけだが。
ここで、現時点でタイに長期滞在するにはどういった方法があるのか確認してみたい。
長期旅行や、私のように個人的な仕事もかねた長期滞在を希望する者にとってどういった選択肢があるのか自分の知っている範囲で述べていきたい。
ビザなしでの滞在
タイの場合、日本人であればパスポートの残存期間が6カ月以上あることを前提に、30日以内の観光目的の滞在ならビザなしで入国することができるようになっている。
くわえて、申請料1900バーツを支払い、タイ国内の警察庁入国管理局窓口(バンコクではラクシー区ジェーンワタナ通りの総合庁舎窓口など3カ所)での手続きを経て30日間の滞在延長が可能となる。
つまり、タイにステイしている間に、バンコクで滞在延長の手続きを行えば、合計60日間滞在することができる。
しかし、別の方法を取れば90日滞在することも可能となる。
出入国を2回繰り返して90日まで伸ばす
30日の滞在期間を得て例のごとくビザなしでに入国したとする。
その後、30日の滞在期間が終了する前に一度タイ周辺国などへ出国し、再び入国すれば30日間の滞在が許される。
ちなみにこれを「ビザラン」と呼び、私も前回の旅行の後半に人生初のビザランに成功した。(失敗することはあまりない)
現在、半年の間にタイに滞在できる合計日数は90日と定められており、このビザランを繰り返せるのは合計2回までとなる。
つまり、最初の30日間+(延長30日×2回)=90日ということになる。
90日間の滞在を終えた後に、同じ6カ月以内のうちにふたたびタイに入国する際には、ビザが必要になるというのが現状となっている。
ちなみに、この「6カ月間で滞在できる合計日数は90日間である」というのは、2014年8月以降、新たに設けられたルールのようだ。
それ以前は、そういった規制がなかったために、前述の「ビザラン」 を何度も繰り返すことが可能であったため、事実上はビザなしで好きなだけ長くタイに滞在することができたようである。
しかし、「この6カ月間で滞在できるのは90日間である」という新たなルールにより、タイにステイしたい「ビザランナー」は規制を受けることになったわけだ。
そういった意味で、現在は日本の「外こもり」と呼ばれる人たちや、同じように、タイに長期滞在する欧米人なども含めて「何をしているのかよく分からない長期滞在者」に対して、より厳しい規制が設けられたということかもしれない。
同じように、こういったことは政府の意向によっていくらでも変更されて行くことが予想されるので、当然、出発前にその都度調べる必要がある。
観光ビザを取得してステイ
ビザランの手間を減らしたい場合は、観光ビザを取得して長期の滞在をするという方法もある。
ちなみに、前回私が2カ月タイにステイした時に取得したのはこの観光ビザのシングルエントリーであった。
出発直前に東京都目黒区にある在京タイ大使館へ出向いて申請し、翌日問題なくすんなりと発行してもらうことができた。
在京タイ大使館で観光ビザを取得する場合、いくつかの書類等を準備しなければならず少々大変だったが、旅程を眺めた時に、日本で観光ビザを取得してからタイへ入国するのが最も合理的という判断から、出国前に取得してからタイへ飛んだ。
申請方法については在京タイ大使館のホームページやこちらの記事が参考になるかと思う。
タイ以外の国でツーリストビザを申請する
国外のタイ大使館や領事館で観光ビザを申請する事もできる。
ただし、日本でする場合もそうだが、申請は出来きても発行してもらえるかどうかは当然約束されない。
海外で申請して許可が下りなければ、いささか悲惨だ。
さて、隣国ラオスのビエンチャンにあるタイ領事館にて観光ビザを取得すると言う方法などがそれに当たる。
この場合、必要となる書類や手数料が日本での取得に比べて少なくて済むというメリットがある。
在京タイ大使館で申請する場合、英語の旅程表や休職証明書、銀行残高証明書など、必要書類が多岐にわたるのに対して、国外で申請する場合は、申請書やパスポート、顔写真など、領事館やその周辺で用意出来るものだけで済むようだ。
私の場合、日本の出国とタイ入国時に際して少々不安があったために出発前に予め観光ビザを取得していくことにした。
二カ月以上の滞在を意味する往復チケットを持つビザなしの旅行者が、すんなりと日本を出国し無事にタイへ入国させてもらえるのかどうかに対して少々の不安があったので、上記のように在京タイ大使館で面倒な工程を踏みつつ観光ビザを取得してから向かうことにした。
というのは、仮に出国は許されたとしても、もしタイに到着後入国させてもらえなければ、ふたたび自腹で日本へ戻ってこなければならず、そういった笑えない状況を回避するためだった。もちろん、それはただの杞憂に過ぎなかったのかもしれないし、こういったケースでもすんなり出入国している方もいるのかもしれない。
3つの種類
タイの観光ビザには3つの種類が用意されている。
具体的には、
- シングルエントリー
- ダブルエントリー
- トリプルエントリー
である。
滞在可能日数
いずれの観光ビザでタイに入国した場合も、まず、入国日から数えて60日という滞在可能日数が付与される。
そして、60日以上の滞在を望む場合、バンコクの入国管理局で1900バーツ支払い手続きを行い、30日間の延長期間を手に入れることができる。
つまり、観光ビザ60日+30日の延長=90日の滞在となり、この「90日」が入国日から数え続けて滞在可能な上限日数となる。
シングルエントリーは入国を1回のみ許されるから、上記のように90日までの滞在が可能となる。
ダブルエントリーは入国を2回まで許されるので上記の工程を2回まで踏むことができ、トリプルエントリーはこれを3回まで繰り返すことができる。
滞在延長
当然、シングルエントリーの観光ビザを持っている場合、60日が経過する頃に一度周辺国へビザランし、ふたたびタイに入国することで、観光ビザが無効になると同時に新たに30日間の滞在延長が可能になる。
2カ月の時点でバンコクにいない予定であれば、国境の街にステイしてビザランで滞在を延長するのも一つの手だ。 このあたりは、旅程に合った方法を取ればよいと思う。
私が前回とった方法も、この「観光ビザ60日+ビザランによる30日間延長」というものだった。60日が経過するころにちょうどタイ北部のチェンライ県という場所にいたので、そこから更に北上してメーサイという街からミャンマーへビザランした。
タイとミャンマーの国境沿いの街メーサイは、サソリで有名な所だ。写真の奥の薄らとした山並はもうミャンマーである。
「ルールが変わった」
余談だが、タイに出発前の調査によると、ビザランには以下のような選択肢があった。
- 陸路での再入国には15日間の延長
- 空路での再入国には30日間の延長
ところが、2014年の4月後半、観光ビザが切れる直前に、私が陸路でタイに再入国した際には、なぜだか30日間の延長が付与された。
その時、入管の男に尋ねてみたが、一言「ルールが変わった」とだけ言われた。
残りの滞在はわずか1週間ほどだったので、私にとってなんら影響はなかったのだが、ネットの情報が古いものだったのか、自分がタイに入国したあとにでもルールが変わったのか、陸路の入国でも30日の延長が出来るようである。
更なる余談だが、この時は、隣国のミャンマーへ出国し、国境沿いの市場をうろうろすること数十分、すぐにタイへ再入国した。
国境付近で物売りをするミャンマー人たちの押し売りの迫力に少々圧倒されたのを覚えている。
タイとの経済的な差が原因だろうか、それとも国民性だろうか、ミャンマーの物売りやトゥクトゥクの男の突進力はタイの比ではなかった。
もちろん、トゥクトゥクで突進してくるわけではなく、呼び込み、客引きの事だ。
それから、ミャンマーの入管の男がやけに悪そうな顔つきで、とても印象に残っている。
ミャンマー入国には500バーツ払わされ、その悪人面に(もしやぼったくられたかな?) と勘繰ったが、あとで調べてみると皆500バーツ払うことがわかり、ほっとしたのを覚えている。
そう言えば、私にとって、陸続きの国境というものをまじかに見て通過したのは、「タイーミャンマー間」が初めてではないだろうか。